環境
環境問題の基礎知識
COP10 開催地・愛知が守った藤前干潟
2010/10/07 更新愛知県には、工業地帯に囲まれながら、渡り鳥の飛来地として世界的に守られている干潟がある。湿地の保全などを目的とする国際条約「ラムサール条約」で国際的にも重要な湿地として登録されている藤前干潟(ふじまえひがた)だ。
実はこの干潟、かつては名古屋駅の辺りまであり、名前も「あゆち潟」と呼ばれていた。「愛知」の県名もここからきているという。それが、江戸時代から新田開発が進み、その後、住宅・工業用地として埋立てが進められた。その残った部分が現在の藤前干潟となった。
一見地味な干潟では壮大な食物連鎖による生命の営みがある。川から運ばれた有機物をバクテリアが分解し、太陽の光や水中の養分でプランクトンが生まれ、プランクトンを食べるゴカイ・カニなどの底生生物は魚に食べられ、鳥の餌になる。ここは陸上生態系と水界生態系の接点だった。
また藤前干潟は、北国で生まれた渡り鳥が冬を越すためオーストラリア方面へ渡るときの中継地点となっている。片道約1万キロを渡るのに必要なエネルギー補給地だ。これを国際的な協力によって守ろうとしたのがラムサール条約への登録だった。2002年、国際的に重要な湿地として323ヘクタールの区域が登録された。
その裏で藤前干潟は、1984年に一般廃棄物処理場とする計画が発表されていた。当時ゴミの処分場は2001年には満杯となる予測が立てられていた。計画発表当時から反対運動と保全活動が続けられ、1999年名古屋市は計画を断念。「ごみ非常事態」を宣言し、分別と資源化のルールが徹底された。それを境にゴミは約20%激減し、埋立て量も減った。
人間の生活は、さまざまな自然環境を通して多様な生物と共存し合いながら成り立っている。地元の人々がその自然の仕組みに気づいていたからこそ藤前干潟は守られてきた。
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