その他

でんでん

夢と希望を与えた 60 億キロメートルの宇宙の旅

2011/05/13 更新

今回は、日本テクノ協力会・日電協の水戸グループ発行『でんでん・みと情報』第45号掲載の小惑星探査機「はやぶさ」について。親方が読書中でも、でんでんの安眠は思うに任ず......。

春眠暁を覚えずなどと人間様ののたまう季節になった。暖かな日ざしの中で眠りに身をゆだねるのは確かに気持ちよい。だが、それは春の季節に限定したものではない。吾輩にとって、丸まって目を閉じているときの気持ちよさはいつの季節でも変わらぬものだ。春を名指しで睡眠の時期とうたう人間たちの気持ちは知れぬ。申し遅れたが、吾輩は電気管理技術者の親方たちに飼われている猫の?でんでん?である。

飼い主の親方たちは数人いるが、一人として吾輩の気持ちを悟る者はいない。吾輩が「活字殿」と呼んでいる読書好きの親方もそうだ。活字殿は本の内容に興味を示すと黙読ができなくなる。「すごい! 地球から太陽までの40倍もある60億キロメートルもの旅をしてきたんだ!!」
 
そのかん高い大声に吾輩は目を覚まし、活字殿が小惑星探査機「はやぶさ」に関する書物を食い入るように読み進めている姿を目にした。もう吾輩の安眠はあきらめて然るべきだろう。
「えっ! イオンエンジンでの航行......探査機自身が進路を決める!!それになんと、はやぶさから小惑星に落とした目印の玉(ターゲットマーカー)は、社員わずか数人の町工場の技術がなければできなかった! ......なになに、普通のロケットは燃料を燃やして出るガスを噴射させ、それを推進力とするのに対し、イオンエンジンはキセノンという物質に電子レンジで使われているマイクロ波を当てるなどしてイオンを噴射させ推進力にする。キセノンならこれまでの探査機に比べ10分の1の重量で済む......はやぶさで試みられた技術のほとんどは?世界初?の挑戦だったのだ!」

もうしばらくすると活字殿は、書物の一字一句をかん高い大声で朗読していくだろう。それが彼にとっての黙読なのだ。飼い主の親方たちには春眠暁を覚えずの境地は訪れないようである。

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