1857年（ねん）にコネチカット州（しゅう）ミルフォードで生（う）まれる。

海軍兵学校（かいぐんへいがっこう）に在学中（ざいがくちゅう）、電気技術（でんきぎじゅつ）に興味（きょうみ）を持（も）ち物理学（ぶつりがく）の特別（とくべつ）コースに進（すす）み、1878年（ねん）にクラスで7番目（ばんめ）の成績（せいせき）で卒業（そつぎょう）した。
その後（ご）、アメリカ海軍（かいぐん）に少尉（しょうい）として任官（にんかん）。
1881年（ねん）、ロードアイランド州（しゅう）ニューポート在任中（ざいにんちゅう）に新型（しんがた）の発電機（はつでんき）を発明（はつめい）。
ヨーロッパの戦隊（せんたい）の旗艦（きかん）ランカスターに移動（いどう）した後（あと）、海軍（かいぐん）の船（ふね）に最初（さいしょ）の電気式呼鈴（でんきしきよびりん）を設置（せっち）する。

1883年（ねん）、トーマス・エジソンの同僚（どうりょう）、エドワード・ジョンソンに海軍（かいぐん）をやめてエジソンの研究所（けんきゅうじょ）に来（く）るように説得（せっとく）され、エジソンの研究所（けんきゅうじょ）で働（はたら）く。
それまで、エジソンは費用（ひよう）のかかる実験（じっけん）を数多（かずおお）く実施（じっし）していたが、スプレイグの数学的手法（すうがくてきしゅほう）を取（と）り入（い）れることによって、適切（てきせつ）な設定（せってい）を計算（けいさん）し不必要（ふひつよう）な実験（じっけん）を大幅（おおはば）に省略（しょうりゃく）することができるようになった。

1884年（ねん）、スプレイグ電気鉄道（でんきてつどう）・モーター会社（かいしゃ）を設立（せつりつ）するためにエジソン研究所（けんきゅうじょ）を離（はな）れる。

1886年（ねん）までの間（あいだ）に、固定（こてい）ブラシにより火花（ひばな）の出（で）ない低速回転（ていそくかいてん）モーターと、電気（でんき）モーターを使（つか）い装置（そうち）から電力系統（でんりょくけいとう）へ電力（でんりょく）を返（かえ）す回生技術（かいせいぎじゅつ）の２つの重要（じゅうよう）な発明（はつめい）を行（おこな）った。
このモーターは、負荷（ふか）の変動（へんどう）にかかわらず同（おな）じ速度（そくど）で回転（かいてん）し、エジソンに唯一（ゆいいつ）の実用的（じつようてき）な電気（でんき）モーターであると保証（ほしょう）されて広（ひろ）まった。
また、回生技術（かいせいぎじゅつ）は電気鉄道（でんきてつどう）や電気式（でんきしき）エレベーターの開発（かいはつ）にも重要（じゅうよう）なものとなる。
その後（ご）、路面電車用（ろめんでんしゃよう）の架線（かせん）から電気（でんき）を集（あつ）める仕組（しく）みも発明（はつめい）した。

1880年（ねん）、ばねの力（ちから）を利用（りよう）したトロリーポールを発明（はつめい）。 これはトロリー・ホイールと呼（よ）ばれる金属製（きんぞくせい）の滑車（かっしゃ）の溝（みぞ）の中（なか）に、電気（でんき）が流（なが）れるトロリー線（せん）（電線（でんせん））を挟（はさ）んで電気（でんき）を集（あつ）める方式（ほうしき）。

架線（かせん）（電線（でんせん））から電力（でんりょく）を供給（きょうきゅう）し、帰線（きせん）（アース線（せん））には車輪（しゃりん）と線路（せんろ）を用（もち）いる。
トロリーポールは通常（つうじょう）ばねで上（うえ）に跳（は）ねあがっている状態（じょうたい）で、電車（でんしゃ）を走（はし）らせない場合（ばあい）は紐（ひも）を引（ひ）いてトロリーボールを倒（たお）す仕組（しく）みになっている。

1887年（ねん）～1888年（ねん）にかけて、はじめて成功（せいこう）をおさめた路面電車（ろめんでんしゃ）システムである「リッチモンド・ユニオン旅客鉄道（りょきゃくてつどう）」をバージニア州（しゅう）リッチモンドに敷設（ふせつ）した。 この年（ねん）に多（おお）くの場所（ばしょ）で、馬車鉄道（ばしゃてつどう）から電気鉄道（でんきてつどう）への置（お）き換（か）えが進（すす）んだ。

1986年（ねん）～1900年（ねん）、ニューヨーク・セントラル鉄道（てつどう）のターミナル電化委員会（でんかいいんかい）に加（くわ）わる。
スプレイグ保安制御（ほあんせいぎょ）・信号会社（しんごうかいしゃ）を設立（せつりつ）して信号機（しんごうき）に列車（れっしゃ）が従（したが）うことを保証（ほしょう）する自動列車保安装置（じどうれっしゃほあんそうち）を開発（かいはつ）した。 この頃、スプレイグの発明（はつめい）に必要（ひつよう）な設備（せつび）のほとんどをエジソンの会社（かいしゃ）が生産（せいさん）していたため、エジソンはスプレイグの会社（かいしゃ）を買（か）い取（と）った。

路面電車（ろめんでんしゃ）での乗客輸送量（じょうきゃくゆそうりょう）の増大（ぞうだい）と高速（こうそく）の移動（いどう）に成功（せいこう）したスプレイグは、電気式（でんきしき）エレベーターにより垂直方向（すいちょくほうこう）の輸送（ゆそう）もできるのではないかと考（かんが）えた。

これまでの水圧駆動式（すいあつくどうしき）のエレベーターは、速度（そくど）が遅（おそ）くフロア面積（めんせき）の広（ひろ）い部分（ぶぶん）をエレベーターシャフトが占（し）めており、水圧（すいあつ）も低（ひく）かったためビルの高（たか）さも制限（せいげん）された。
スプレイグはエレベーターのシャフト単位（たんい）での輸送能力（ゆそうのうりょく）を向上（こうじょう）することで、所要時間（しょようじかん）を短縮（たんしゅく）し改善（かいぜん）することができるのではないかと考（かんが）え開発（かいはつ）を進（すす）めた。

1892年（ねん）、スプレイグ電気式昇降機会社（でんきしきしょうこうきかいしゃ）を設立（せつりつ）し、チャールズ・R・プラットと共（とも）にスプレイグ・プラット式電気（しきでんき）エレベーターを開発（かいはつ）。
スプレイグ・プラット式電気（しきでんき）エレベーターは、従来（じゅうらい）の水圧式（すいあつしき）や蒸気式（じょうきしき）に比（くら）べて動作（どうさ）が早（はや）く搭載能力（とうさいのうりょく）も大（おお）きかった。
階床制御（かいしょうせいぎょ）の自動式（じどうしき）エレベーターや安全上（あんぜんじょう）のかごの加速度制御（かそくどせいぎょ）、多（おお）くの貨物（かもつ）エレベーターなどを開発（かいはつ）。 電気式（でんきしき）エレベーターは世界（せかい）で584台設置（だいせっち）された。

1895年（ねん）、オーチス・エレベーター・カンパニーに会社（かいしゃ）を売却（ばいきゃく）。

スプレイグはエレベーター制御（せいぎょ）の経験（けいけん）を活（い）かし、電気鉄道（でんきてつどう）の総括制御（そうかつせいぎょ）システムの開発（かいはつ）に取（と）り組（とりく）んだ。
総括制御（そうかつせいぎょ）システムとは、列車（れっしゃ）の各車両（かくしゃりょう）にモーターを搭載（とうさい）し制御伝送線（せいぎょでんそうせん）を通（つう）じてリレーを動作（どうさ）させる仕組（しくみ）みで、運転士（うんてんし）が列車（れっしゃ）のすべての駆動（くどう）モーターを操作（そうさ）することができる。

電気鉄道（でんきてつどう）はすべての車両（しゃりょう）に乗客（じょうきゃく）を乗（の）せることができるようになり、機関車（きかんしゃ）を使用（しよう）した鉄道（てつどう）でも1人（ひとり）の機関士（きかんし）で複数（ふくすう）の車両（しゃりょう）を制御（せいぎょ）することが可能（かのう）となった。

第一次世界大戦（だいいちじせかいたいせん）の間（あいだ）、海軍顧問委員会（かいぐんこもんいいんかい）で仕事（しごと）をこなした。
エレベーターのフロアの面積（めんせき）を節約（せつやく）するため、1つのエレベーターシャフトで各階停止用（かくかいていしよう）と急行用（きゅうこうよう）の2つの独立（どくりつ）したエレベーター安全（あんぜん）に動（うご）かす方法（ほうほう）を開発（かいはつ）した。

電気技術（でんきぎじゅつ）の発明（はつめい）・発展（はってん）の功績（こうせき）に対（たい）して1889年（ねん）のパリ万博博覧会（ばんぱくはくらんかい）では金（きん）メダル、1910年（ねん）にエジソンメダル、1921年（ねん）にフランクリンメダルを受賞（じゅしょう）するなど数多（かずおお）くの賞（しょう）を受賞（じゅしょう）している。