水力発電とは
水が高いところから低いところへ落ちる力を利用して発電用の水車を回し、電気に変換する。
発電機によって異なるが、1分間に100~1200回転し、400~1万4000ボルトの電気を作ることができる。
発電方式は流れ込み式、貯水池式、揚水式、ダム式など様々な発電方式がある。
山の多い日本には向いている発電方式だが、日本国内で新たに大型ダムを建設するのは難しく今後の課題となっている。
水力発電のメリット
- 水流や水量を変化させることで発電量をコントロールできる
- ある程度の落差と流水があれば発電ができ、水車を設置できる範囲も広い
- 他の発電方式に比べるとコストが安く、短時間で発電開始が可能
- 再生可能エネルギーのなかでも、最もクリーンなエネルギー
水力発電のデメリット
- 大規模建築物のため、遠隔地に建設されることから建設費用や送電コストがかかる
- 降水量によって発電量が変わる
- 多く場合はダムを建設する必要があり、周囲の自然環境に影響がある
- 長年使用しているとダムの底に土砂がたまり発電量が減少する
発電の種類
流れ込み式
河川の流れを止めることなく、発電に使用する方式。主に出力の小さい発電所で使用されている。
揚水式
発電所のある河川の上部と下部にダムをつくり、昼間の電力消費が多い時に上部のダムから下部のダムに水を落として発電し、 電力消費量の少ない夜間は、他の電力を利用して下部から上部のダムへと水をくみ上げて昼間の発電の準備をしておく方式。
調整池式
夜間や週末の電力消費の少ない時に発電を控えて、小規模のダムに河川の水を貯めておき、消費の増加に合わせて 数日単位の水量を調節しながら発電する方式。
貯水池式
調整池式よりも規模の大きいダムを使用。水量が多く電力消費の少ない春と秋に水をためておき、 消費電力の多い夏や冬に年間単位で水量を調節しながら発電する方式。
水路式
川の上流に堰堤を作り、長い水路を使い落差があるところまで水を引いて発電する方式。
ダム式
山や岩が高く切り立った河川の間にダムを造り人工の湖にして、その落差を利用して発電する方式。
年間総発電量の世界一は、ブラジルとパラグアイの国境に流れるパラナ川にあるイタイプダム(年間950億kWh) 世界最大の貯水量は、ジンバブエにあるカリバダム(約1800億立方メートル貯水できる) 日本最大の大きさの水力発電所は富山県の黒部ダム(年間10億kWh)で、堤の高さ186m、貯水は2億立方メートルの水を貯めることができる。
開発の進め方
1:発電所に適している場所を地図から探す。
2:河川の水量を継続的に測定し、発電にどのくらいの量が利用できるかを調べる
3:地形測量・地質調査などを行う
4:調べた結果をもとに、水力発電の形式や発電設備のレイアウトを検討。
5:周辺環境の調査を行い、発電所の建設に伴う環境保全対策を練る。
6:地元の了解、および国・地方自治体等の各種法令に基づく申請を出し許可を得る。
今後の水力発電
日本では大規模のダムが建設できないため、川や用水路など水の流れがあるところに 水車を設置する「小水力発電」に注目が集まっているが、 小水力発電は河川や用水路の大きさによって設計が異なり、製造費用も高くなる。 さらに、河川の水には水権利があり、発電所を建設しようとすると多くの権利者と調整を進める必要があるために普及しづらいという問題点もある。
小水力発電
世界的に統一されているわけではないが10,000kW以下の設備を小水力と呼んでいる。 日本の法律では、1,000kW以下と1,000kWを超える水力が明確に区分されており、 1,000kW以下の水力発電も新エネルギー法により「新エネルギー」に認定されている。
NEDOのガイドブックより
●10,000kW以下 小水力発電
●1,000kW以下 ミニ水力発電
●100kW以下 マイクロ水力発電
水力発電の固定価格買取制度の比較表
2015年度 | |||
---|---|---|---|
水力 | 1,000kW以上30,000kW未満 | 200kW以上1,000未満 | 200kW未満 |
買取価格 | 24円+税 | 29円+税 | 34円+税 |
調達期間 | 20年間 | 20年間 | 20年間 |
既設導水路 活用中小水力(※) | 14円+税 | 21円+税 | 25円+税 |
※既に設置している導水路を活用して、電気設備と水圧鉄管を更新するもの。
2011年度 | |||
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水力 | 1,000kW以上30,000kW未満 | 200kW以上1,000未満 | 200kW未満 |
買取価格 | 24円+税 | 29円+税 | 34円+税 |
調達期間 | 20年間 | 20年間 | 20年間 |