Vol.6 環境の重要性を自分ごとに/リンデンホールスクール中高学部
リンデンホールスクール中高学部(福岡県筑紫野市)は、国語以外のほぼすべての授業を英語で行う英語イマージョン教育が特色の中高一貫校だ。日本で唯一、教育課程特例校制度で「環境」の科目を置く。
特例校として認められると、通常の教育課程にある授業時間の一部を学校や地域の特色に合わせ、より効果的な独自の科目にあてられる。制度を取り入れたきっかけを校長の都築明寿香さんはこう話す。「自然との調和は創立当初から大切にしてきたもの。本校の方針は世界で活躍できる人を育てること。その2点からおのずと世界的問題の環境の重要性が強く感じられ、制度の導入に至りました」。
中学部の環境の科目では環境汚染、生物多様性など年間5〜6個のテーマに沿った授業が行われる。週に1回、3年間でおよそ80時間をかけて幅広く学ぶ。
生徒たちはその課題ごとに座学、実習、グループワーク、発表というプロセスを踏む。そこで環境知識の習得とともにコミュニケーションやプレゼンテーションの能力も培っていく。授業で使用される言語はもちろん英語だ。

授業は自然豊かな環境を生かし、教室のほか敷地内の「イングリッシュガーデン」でも行われる。
環境教育と同時に、記憶に残る経験を
授業計画を作成し、教壇に立つ教員のグリム・リサさんは「中学生にとって環境は、問題の規模が大きく自分ごととして考えにくい内容です。授業では身近な話に落とし込んだり、実際に手を動かすことで楽しみながら学べるよう意識しています」と話す。
例えば生物多様性の学習の一環として生物分類学を学んだ際には、生物を身近な菓子に置き換えて、種類、形状、味などの共通点を自分たちで定義し、分類を行った。生徒からは「身近なもので考えるから覚えやすい。日常をうまく掛け合わせて教えてもらえるので楽しく学べる」と声が上がる。
海岸清掃を毎年行うのも授業の一環だ。だがグリムさんは、それだけでは海洋ゴミ発生原因の根本的解決にはならないと考え、環境への残留負荷軽減につながるバイオプラスチックを授業のテーマに設定した。
そこでは基礎知識の学習と並行して、生徒たち自らがバイオプラスチック製品の開発を行った。つくるアイテムを決めると、最も適した材料や配合を探るため実際に溶かして型に流し込み、何度も試作品づくりを繰り返した。そうしてフォークやクリアファイルなど生活に身近な開発品を完成させた。最後には教師を相手にこれらを買ってもらう模擬プレゼンテーションを行った。「グループワークやプレゼンテーションなど自ら考え行動して得た経験は深く記憶に残ります。環境の分野に限らず、社会に出たときにこの経験を生かして活躍してほしいです」(グリムさん)。

生徒によってまとめられたバイオプラスチックの配合実験結果の比較表。
高校に進むと、学びたいテーマを自分で決め、より学術的な内容の学習と研究を行う。環境授業の導入前と比べ、大学進学後も環境について学びたいという生徒が増えた。都築さんは「環境について考え行動する体験の積み重ねは問題意識を強くします。そこから問題解決のためのアクションが引き出されていく」と話す。将来の卒業生が多くの環境問題を処理していく姿が目に浮かぶようだ。
こぼれ話
環境の授業のフィールドワークが行われるという敷地内のイングリッシュガーデン。取材に伺った際は時期が合わず、咲いているのは数輪でしたが、見ごろになるとたくさんのバラが咲き誇るのだとか。
なんとこのイングリッシュガーデン、無料で一般開放されています(お盆期間や年末年始は閉園)。


生物も多数生息していて、湖には白鳥も生息しています。ツガイでしょうか。2羽で仲良く毛繕い。カメも気持ちよさそうに甲羅干しをしていました。


校内の見学もさせていただきました。あいにく体育祭の練習で生徒の皆さんは不在。英語で行われる授業を生で見ることは叶いませんでしたが、海岸清掃で拾ったマイクロプラスチックを使ったアート作品やその他の環境に関する掲示物などゆっくりと鑑賞することができました。


同校では、環境の授業以外にもさまざまな取り組みがなされています。筆者が最も驚いたのは、給食について。使用する食材のほとんどが福岡県産と徹底した地産地消です。地産地消のメリットは、地域貢献のほか輸送が最低限で済むため環境負荷を抑えられること。そのうえ、米と野菜はすべてオーガニック食材をしています。調味料もオーガニックや国産無添加のものを使用するというこだわりようです。毎日提供する給食。欠かすことなくオーガニック食材を使用するためには安定した仕入れが必要で、着想から実現までに3年も要したのだとか。そんなオーガニック給食について生徒さんに尋ねると「バランスがよくておいしい!」「いつも豪華!」と即答してくれました。
実際の給食がこちら!メニューは和食が中心で、魚を使う日はその日の朝に博多港から仕入れているそう。

生徒の手によって校内の畑でもオーガニック野菜を栽培することもあり、育てた野菜は給食に使用されます。
さらに、給食で出た野菜や果物の皮は堆肥になります。

こぼれ話にも書ききれない話が盛りだくさん。子どもを通わせたくなる、叶うなら自分が通いたくなるような素敵な学校でした。ぜひ、リンデンホールスクールさまのホームページもご覧ください。
国際バカロレア認定校 リンデンホールスクール中高学部(https://lindenhall.ed.jp/highschool/)
今回の取材にあたっては、都築校長、リサ先生、中学2年生と高校1年生の生徒さん、広報担当の方々にたくさんのお話を伺いました。取材を通して環境とのかかわり方を見直すきっかけになったと同時に、大変勉強になりました。
ご協力いただきありがとうございました!



























































