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生物多様性レポート

生物多様性を維持していくために私たちに何ができるのか、
その可能性を探るコーナーです。

生物多様性保全の第一歩
見る、知る、関心を持つ

アンダーバー

 1992年にブラジルのリオデジャネイロで開催された国連環境開発会議(地球サミット)で2つの条約の署名が開始された。いずれも世界規模の環境問題に対する取り決めで、双子の条約といわれる「気候変動枠組み条約」と「生物多様性条約」である。うち前者は締約国会議で地球温暖化対策「パリ協定」を採択するなど注目度は高い。
 だが後者への一般の関心はそれに及ばない。昨年10月に内閣府がまとめた世論調査では「生物多様性」の言葉を「聞いたこともなかった」人は全体の半数近く(47.2%)もいた。認知度を上げ、社会に浸透させる「生物多様性の主流化」が課題であり、その一助になるよう小欄でもこれまで関連記事を8回連載してきた。見えてきたのは、現場も同じ危惧を抱き、まずは知ってほしいと望む思いだ。
 連載初回に登場した環境教育プログラムを実施する名古屋市東山動植物園の担当者は、生物の生きる姿を目の前で見ることで興味が芽生え、そこから命や自然を大切にする心を養ってほしいと話した。ほかにも「好きでも嫌いでも構わないので関心をもってほしい」(伊丹市昆虫館)、「地元に生息する生き物を知るだけでも環境活動の後押しになる」(やながわ有明海水族館)、「多くの人に外来種問題について知ってほしい」(体感型動物園iZoo〈イズー〉)などの声が聞かれた。
 乱獲による水産資源の減少を止めようと消費者の意識改革に取り組むChefs for the Blueでは「水産に関するニュースにもっと目を向けて」と訴え、獣害対策で殺処分されるシカの命を無駄にしないためシカ肉料理の食文化づくりに励むアイディア研究舎は「豊かな自然の証である天然の味を知ってほしい」と投げかける。
 福井市自然史博物館の鳥博士と呼ばれる学芸員がその道に進んだきっかけは幼い頃に文鳥を飼ったこと。スマートフォンアプリで生物のデータベースづくりを進める株式会社バイオームの社長はボルネオ島に訪れたとき伐採された森林を目の当たりにし、活動開始を決意した。見る、知る、関心を持つ──まずはそこからだ。

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