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身近な電気のあまり知られていない話

日々の生活の中で欠かせないエネルギーの1つ「電気」。
電気にまつわるあれこれを紹介していきます。

身近に潜む感電の危険性

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知っているようで、よく考えてみると深くは知らない電気の話。第5回は感電について。電線にいる鳥は感電する?



 人体に電気が流れることを「感電」という。静電気でバチッとしびれを感じるのも広い意味で感電の一種だ。
 大地に電気が流れ込むことを地絡というが、身体のどこかから侵入した電気が地面につながる足を通して地絡が起こった場合、電気の流れる経路上に心臓があると心停止に至ることもある。感電による人体への影響は「流れた電流の大きさ」「流れた時間」「流れた経路」に左右される。
 人体は電気が流れやすく、皮膚が汗や水で濡れているとさらに通電しやすくなる。水周りなどで家電製品を使う場合は注意が必要だ。漏電している家電製品に触れると、電気は人体を経由して流れる。
 感電事故を防ぐための心がけには、①傷んでいる、または水のかかったコード、プラグには触らない②濡れた手で家電製品に触れない③家電製品にアース線(漏電のとき漏れた電流を大地に逃がす役割がある)を取り付ける──などがある。
 だが、家庭よりもはるかに多くの電気が流れる電線上のスズメは、感電しているようには見えない。それは電気の流れていく行き先がないからだ。地面に立つ人が電線に触れる場合と、電線に止まる鳥には大きな違いがある。人が電線に触れた場合は、そこから体内を経由して、電気は大地に流れる。つまり感電してしまう。

※ イラストは『イチから学ぼう デンキのキホン』(編集 日本テクノ)より。


 それに対し、スズメの場合は1本の電線に留まっており、大地のように流れていく先がない。だから感電はしない。人間もスズメと同様に、ほかの物体に接触することなく一本の電線に触れただけでは感電しない。感電するのは、電線から手、身体、足を通り大地に電流が流れるからだ。
 通常、空気は電気を通さないので、鳥の身体からほかへ電気が流れることはない。ただし2本の送電線の間隔が狭い場所で、大きな鳥が翼を広げ2つの線に触れてしまう場合などは電気が流れ感電してしまう。それが原因で周辺を停電させることもある。
 感電の仕組みについて理解し、身近に潜む感電の危険性を認識しながら、生活に欠かせない電気を安全に使っていきたい。

※ イラストは『イチから学ぼう デンキのキホン』(編集 日本テクノ)より。

※ イラストは『イチから学ぼう デンキのキホン』(編集 日本テクノ)より。