電力小売り全面自由化スタート 電力会社、料金メニュー 選択可能に
2016年4月1日から、電力の小売りが全面自由化された。各分野での規制緩和の動きや競争原理導入による電気料金抑制の声などを背景に2000年3月から部分的に自由化されていた電力の小売り市場がすべて開放された。
これまで家庭やコンビニエンスストアなど自由化されていなかった「規制部門」では、各地域の大手電力会社が独占的に電力の小売りを行っていた。規制部門では新たな事業者は参入できず、消費者が電力を買うのは管轄の大手電力会社からだけに限られていた。その規制の枠を取り払ったのが今回の全面自由化だ。
一般家庭向けなどの規制部門にも事業者の新規参入が許され、政府の登録を受けることで電力の小売りが可能になった。消費者は、どの会社からどのような料金メニューで電力を購入するのか選択できるようになった。
電力の供給システムは大まかに「発電」「送配電」「小売り」の3つに分類される。今回の自由化はこのうち「小売り」の分野。「発電」についてはすでに原則参入自由になっている。だが送電線や配電線のネットワークを管理する「送配電」の部門は、全体の需給バランスを調整し、停電を防ぐなど電力の安定供給を担う中軸となるため、自由化はせず、政府が許可した地域の大手電力会社が引き続き担当する。そのため、どの小売事業者から電力を購入しても、今までと同じ送配電網を使うので、電気の品質や信頼性は変わらない。