ベースロード電源市場創設へ
経産省 電力システム改革の有識者会議 中間報告
2016年12月、経済産業省は「電力システム改革貫徹のための政策小委員会」での議論を踏まえた中間報告をまとめた。競争の活性化と公益的課題の克服などを検討し、改革の実効性を確実にする施策を示した。
競争活性化のためにあげた施策は主に2点。1つは「ベースロード電源」の創設。原子力や石炭火力、水力などによる発電は安価で大量の電力をつくれるが、これまではそうした発電所を持つ大手電力会社だけが、これをベースロード電源(安定した一定量の供給を賄う電源)として利用し、新電力がそれを調達するのは困難だった。そこでこの低コスト電力を、電気の取引市場に供出するよう大手電力会社に実質的に義務づけ、新電力の電力調達先を広げる。今後、詳細を検討しながら2019年度の取引開始、2020年度の受渡開始を目指す。
もう1つは、連系線利用ルールの見直し。異なる地域間での電力売買をしやすくする施策で、競争原理を導入する。具体的には、地域をまたいで送電線を利用する場合に適用されていた先着優先ルールを「間接オークション」方式に変更する。
公益的課題への対応では、自由競争下で投資意欲の後退が懸念される発電所建設などに対応するため、電力の供給力に対しても対価を払う「容量市場」の導入をあげた。また再生可能エネルギーで発電した電気などに価値を別途付与して「非化石価値取引市場」をつくる。さらに報告書では、託送料(送電線の利用料)に上乗せして原発事故賠償費用を回収する仕組みも示している。