再エネ 経済的自立の「主力電源」へ
原子力 安定供給のため「ベースロード電源」として
構成比を維持しつつ依存度を低減「第5次エネルギー基本計画」
2018年7月、政府は新たなエネルギー政策の方向性を示す「第5次エネルギー基本計画」を閣議決定した。「3E+S(安全性、安定供給、環境性、経済効率)」の原則を踏まえ、エネルギー対策にどのように取り組むか、その基本方針を明らかにした。
基本計画は、エネルギー政策基本法に基づき政府が策定する。数年ごとに見直しを行い、前回の第4次基本計画は2014年に決定された。
新しい基本計画では、「安全性を前提にエネルギー安定供給を第一とし経済効率性を向上しつつ環境適合を図る」基本原則と近年の情勢変化などを示したうえで、2030年と2050年に向けた方針などを提示した。
2030年の方針は、すでに示されているエネルギーミックス(再生可能エネルギー〈再エネ〉:22〜24%、原子力:20〜22%、火力:56%)の目標を踏襲し、その実現に向けた取り組みを詳述している。再エネは主力電源化への道筋をつけ、低コスト化、系統制約克服、調整力確保といった施策をあげた。原子力は安定供給のための「ベースロード電源」としてエネルギーミックスの実現を目指しながら、依存度を可能な限り低減する。火力は効率的・安定的な利用を前提に高効率な発電の有効活用を促進し、自主開発も進めていく。
2050年に向けては2016年5月閣議決定の「地球温暖化対策計画」にある長期目標「温室効果ガス80%削減」を目指し、エネルギー転換や脱炭素化に取り組む。ここでは細かな数値目標を定めず、複数シナリオの追求を提唱。各エネルギー源に対しては、再エネは経済的に自立した主力電源を目指し、原子力は安全性を追求しつつ脱炭素化の選択肢として考え、化石燃料はガス利用へシフトし、非効率の石炭はフェードアウトなどの方向性をあげている。
▼エネルギーミックス
再エネ、原子力、火力など多様なエネルギー源を組み合わせ、安定的な電力供給を目指す電源構成。国内で目標とするエネルギーミックスは経済産業省が数年おきに作成する「長期エネルギー需給見通し」で定められる。
最新版は2015年7月のもので、2030年の電源構成の目標などを示した。今回の基本計画では、この需給見通しを「エネルギーミックス」と呼び目標実現に向けての施策を提示している。