電力取引 ベースロード市場スタート
JEPX取引結果公表、約定量は低調
2019年8月、日本卸電力取引所(JEPX)は、新しく開設したベースロード市場の取引結果を公表した。取引価格は最近のスポット市場と同程度で、取引された約定量は関係者の予想を下回る水準だった。
発電コストが低いとされるベースロード電源(地熱、一般水力、原子力、石炭火力)の多くは大手電力会社が所有しており、それらの発電設備は初期投資が高額になるため新規の開発は難しい。その低コストの電気を新電力にも入手しやすくし公正な競争を促す目的で新市場が開設された。
入札期間は2019年7月30日〜8月9日。2020年度の1年間に使う電力が取引された。入札のエリアは北海道、東京(東京・東北)、関西(中部・北陸・関西・中国・四国・九州)の3つ。
取引成立を示す約定量は合計で18万4300kW(北海道=1万2700kW、東京=8万8200kW、関西=8万3400kW)。年間電力量にすると約16億kW時で、これは2018年度の新電力販売電力量の1.3%だという。価格はkW時単位で北海道が12.47円、東京が9.77円、関西が8.70円。入札前は5円前後との期待もあったが、そこまでの安値にはならなかった。初の市場のため慎重な取引に傾いたとみられている。
ベースロード市場は2019年度内にあと2回の入札を予定している。
電力需要は、昼間に多く夜間に少ないなどの変動があり、供給する発電側もそれに合わせる必要がある。このとき、常に必要な一定量を賄うのがベースロード電源で、発電コストが比較的安いとされる石炭火力などが利用される。需要が最大のときは出力変動が容易な石油火力などのピーク電源を使い、ベースとピークの中間は、ガス火力などのミドル電源で電気をつくる。