経産省 スマート保安推進へ官民協議会
IoTやAIなど新技術活用の方針を共有
経済産業省は産業構造審議会の電力安全小委員会で2020年4月、産業保安分野でIoTやAI、ドローンなど新技術を活用して高度化を図る「スマート保安」推進のため、官民トップによる協議会設置の考えを示した。
名称は「スマート保安官民協議会」。行政側からは経済産業大臣、関係局長、民間側は電気やガスほか関係する業界団体のトップがメンバーになる。協議会で基本方針を固め、国は規制や制度の見直し、企業は新技術の実証や導入に取り組む。
スマート保安を進めることで、近年激甚化する自然災害にも対応できる保安の高度化、将来的に予想される保安人材不足への対応、感染症拡大時における保守や点検体制の確保などの課題に対処していく。また設備の経年変化に伴い検査業務が増えてもそれに対応できない現状への対処や、データ解析などにより事故や故障の兆候を見つけ事前に修理する「予知保全」へのシフトも目指す。具体的には現在の保安水準維持を前提に、現場作業員の定期点検方式からIoTなどの新技術を用いた保安体制へ移行し、高度化・効率化・遠隔化を進める。単なる業務効率化の手段ではなく、電力の安定供給や公衆安全の確保を実現する手段として捉える。
そのためドローンによる点検を検査規格に取り入れたり、一定の火力発電所で認められていなかった遠隔監視の導入を可能にするなど関連制度の見直しも進めていく。