Pick up news/最新の環境ニュース
2015.7.17環 境

温室効果ガス排出量 26%削減へ

 2015年6月、政府は国内の温室効果ガス排出削減量の新しい目標案を了承した。2030年度に2013年度比で26%削減という内容。削減目標を算出するにあたって、どのような種類のエネルギーで電力をまかなうかを想定する電源構成(エネルギーミックス)案も事前に了承されている。



 2015年末にフランスのパリで開かれる気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)に向け、各国には温室効果ガス排出削減の自主目標の提出が求められている。今回政府が了承したのは、その国際的な約束の目標案。総排出量が約10億4200万㌧になる26%の削減率は、省エネの強化推進、再生可能エネルギーの普及拡大、原子力発電所の稼働、二酸化炭素(CO2)吸収源となる森林の整備などの施策を積み上げた結果。
 これまで基準年を2005年としてきたが、削減率が他国に比べ有利になる2013年を用いた。アメリカが示している削減率(目標年:2025年)は2005年比では26〜28%だが2013年比では18〜21%になる。同様にEU(目標年:2030年)は35%が24%になり、いずれも日本のほうが上回る。ただし、国連には、安易な基準年の変更が信用を失うとして、2005年度比換算の削減率(25.4%)も並記して登録する方針。
 政府は目標案の了承に先立って、2030年時点のエネルギーミックスも示している。削減率はこの電源構成の想定に基づいて導いた。想定する電源構成では、まず省エネにより全体の総発電量を17%程度抑えたうえで、石炭などの化石燃料を56%、原子力を20〜22%、再生可能エネルギーを22〜24%にする。
 再生可能エネルギーの内訳は、水力が8.8〜9.2%、太陽光が7.0%、バイオマスが3.7〜4.6%、風力が1.7%、地熱が1.0〜1.1%とした。天候に左右される太陽光と風力を約9%と低くし、比較的安定性の高い水力、バイオマス、地熱をより多く確保したい考えだ。
 削減目標は、国民への意見公募を経て最終決定し、7月中にも国連の気候変動枠組み条約事務局に提出する。