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2015.12.24環 境

電力事業者 温室効果ガス35%排出削減

  2015年7月、電気事業連合会加盟の大手電力10社や特定規模電気事業者(新電力)の有志23社などが共同で、温室効果ガス削減の自主目標を発表した。大手電力と新電力が共通の環境目標を策定したのは初めて。3月に自主的枠組みの検討会を発足し、今回の発表に至った。



 自主目標は、2030年度の温室効果ガス排出量を2013年度比で約35%削減するというもの。具体的には、電力販売量1kW時当たりの二酸化炭素(CO2)排出量(排出係数)を、2013年度の0.57kgから、2030年度に0.37kgに減らす。同時に、火力発電所の新設時は利用可能な最新技術を活用するなどで最大約1100万tの排出削減につなげる。
 自主目標の前提にしたのは、先に経済産業省が発表した「長期エネルギー需給見通し」で、ここで想定している2030年度の電力需要と電力由来のCO2排出量から今回の目標となる排出係数を算出した。
 目標を達成するための取り組みには、原子力発電や再生可能エネルギーの活用、火力発電の高効率化、省エネサービスの促進などをあげている。このうち再生可能エネルギーでは、太陽光発電の出力変動対応策や地域間連系線を活用した風力発電の導入拡大などを盛り込んだ。需要家の省エネを後押しするスマートメーターの導入推進や、排出削減活動の技術・ノウハウを海外に展開する活動も加えた。中長期の取り組みとして、電力需給両面における環境保全のための革新的な技術開発を継続していくことも記載している。
 発表した行動計画や目標は、実効性のあるものかどうか毎年度確認し、その結果を翌年度以降につなげる。技術開発の動向や事業環境の変化によって、必要があれば見直していくという。
 発表時点の参加企業は35社。大手電力と新電力に加え電源開発(Jパワー)と日本原子力発電の2社も参加した。販売電力量でのカバー率は99%になるが、今後も参加希望の企業があれば受け入れ、開かれた枠組みにしていく。