日本付近CO2濃度 観測史上最高
気象庁発表 2016年平均値407.2ppmなど
2017年5月、気象庁は日本付近の二酸化炭素(CO2)濃度の観測値を発表した。2017年に入って地上観測地点(大気中)の月平均値が観測史上最高を更新したほか、同地点の2016年の年平均値も例年の増加量を大きく上回り最高を記録した。
綾里、南鳥島、与那国島にある国内3カ所の観測地点における2016年平均の大気中CO2濃度は、それぞれ407.2ppm、404.9ppm、407.1ppmで、いずれも観測史上最高の値になった。前年からの増加量も順に、3.8ppm、3.4ppm、3.2ppmと最近10年間の平均増加量(綾里と与那国島は2.2ppm、南鳥島は2.1ppm)を大幅に超え、綾里と南鳥島は観測史上1位、与那国島は2位の増加量になった。
観測開始以来、大気中のCO2濃度は人間の活動による排出で年々上昇しているが、気象庁では例年を上回る今回の増加量の主な要因は、2014年夏から2016年春に発生したエルニーニョ現象の影響とみている。エルニーニョ現象が発生すると、熱帯域の高温化で植物のCO2吸収量が減少するといった影響が表れ、CO2濃度が世界的に増加することがわかっている。前年からの増加量が大きくなる傾向は、観測船で調査した北西太平洋域の洋上や航空機による日本の南東(神奈川県綾瀬市│ 南鳥島間)上空6km付近でもみられるという。
気象庁では世界気象機関(WMO)の全球大気監視(GAW)計画の一環として、日本を含む北大西洋域の大気と海水中の精密なCO2濃度を観測している。
現在、温室効果ガスの濃度などを調べる気象庁の地上観測地は国内に3カ所ある。①1976年に開所し、1987年からCO2濃度の定常観測をアジア地区で初めて開始した綾里(りょうり)(岩手県大船渡市)の大気環境観測所。②1993年から温室効果ガス観測を開始した南鳥島気象観測所(東京都小笠原村)。③1997年観測開始の与那国島特別地域気象観測所(沖縄県与那国町)。特に南鳥島は人間活動の影響が極めて少なく、世界で最も観測条件のいい観測所の1つに数えられている。
また陸上以外にも、海洋(船)と上空(航空機)の観測も実施している。