自然の持つ機能を生かす国づくり
国交省「グリーンインフラ推進戦略」策定
2019年7月、国土交通省は「グリーンインフラ推進戦略」を策定した。グリーンインフラとは、自然環境が持つ防災や減災、生物への生息域の提供、地域振興といった多様な機能を活用し、持続可能な国土・都市・地域づくりを推進すること。ダムや道路など人工構造物と自然の機能を組み合わせるようなハード面だけでなく、地域の社会活動を支えるといったソフト面でも取り組みを進め、公共事業はもちろん民間の事業も含める。これまで同様の活動は一部先進的に行われてきたが、昨今の激しさを増す自然災害や少子高齢化、人口減少など社会情勢の変化を踏まえ、一部ではなく全般的な取り組みとして普及させていく。
戦略では、グリーンインフラが求められる場面として、土壌の活用による雨水の貯留浸透対策や植栽による暑熱緩和対策といった「気候変動への対応」、社会資本の老朽化を自然機能の活用により対処する「既存ストックの維持管理」などをあげている。
それらを推進していくための方策では、基本方針として、社会資本整備や土地利用を進める際の検討プロセスにグリーンインフラを組み込むことを示した。具体的には、アドバイザー派遣やシンポジウム開催などを行う「グリーンインフラ官民連携プラットフォーム(仮称)」創設といった環境整備のほか、民間の取り組みに関するファイナンスや交付金など支援の充実、投資判断ができるようにする評価手法の開発など。国交省はこの戦略に基づき取り組みを加速させる考え。