人口 | 4,857人※2014年10月31日現在 |
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面積 | 197.13km² | 市HP | http://www.town.niseko.lg.jp/ |
備考 | 環境モデル都市(2014年選定) 環境市場新聞39号掲載 |
ニセコ町ニューストピックス
- 2015/1/6
- 本編を公開いたしました。
- 2014/10
- 取材を行いました。
CO286%排出削減で国際環境リゾート地へ
日本の百名山にも
選定されている羊蹄山北海道南西部に位置するニセコ町。北にニセコアンヌプリ(ヌプリはアイヌ語で「山」の意)、東に蝦夷富士とも称される羊蹄山、そして南には昆布岳を有する、大自然に囲まれた町である。
北海道屈指の豪雪地帯であるニセコ町は、スキーリゾートとして抜群の存在感を示しており、世界でも有数のパウダースノーを求め、国内のみならずオーストラリアをはじめとする多くの海外スキーヤーもこの地を訪れる。昨年の観光客数は約157万人にのぼり、道内有数の観光都市へと成長を遂げている。
観光と環境の共存
町の主幹産業として大事な役割を果たす「観光」は、豊かな自然環境が基盤であり、その自然環境の崩壊は、町の産業基盤の崩壊を意味する。そんな危機感を常に念頭に置いてきたニセコ町では、ごみの高度分別・有料化による3Rの推進や、生ごみ、下水汚泥、家畜糞尿の資源化を行う堆肥センターの設置、地域省エネルギービジョンの策定などを通し、長きにわたり「環境」と向き合い、共存を図ってきた。
2012年3月に、地球環境負荷の低減を図る資源循環型の「環境創造都市」をテーマとした「第5次ニセコ町総合計画」、そして「水循環のまち」をテーマとした「第2次ニセコ町環境基本計画」をそれぞれ策定し、より積極的なアクションプランを提示した。そして2014年3月には、北海道では3都市目となる「環境モデル都市」にニセコ町が選定され、他都市をリードする役割も担うこととなった。
寒冷地に適した自然エネルギー
町民センターに設置されている
地中熱ヒートポンプ
町では、「景観保全・開発規制」「資源・環境保全」「地域内エネルギー循環政策」の3つの環境方針を定め、総合的なアプローチで施策を展開。2011年に策定された「ニセコ町地球温暖化対策実行計画(区域施策編)」では、1990年度比で2050年度までにCO2排出量を86%削減するという大きな目標を設定した。目標達成へは、町内に集積する大型観光施設からのCO2削減、そして、年間平均気温8℃、最低気温は-7℃にもなる積雪寒冷地であるがゆえに多い、冬場の熱需要への対策が重要なカギとなる。
そんな中、CO286%削減に向けた取り組みとして先陣を切ったのが、地中熱ヒートポンプの導入である。地中温度は深さ10m以上では、年間を通してほぼ一定に保たれており、安定した熱源として有用だ。ニセコ町は、比較的地中温度の高い地域に属しており、その温度は11℃ほど。熱の採取は、ボアホールと呼ばれる穴を掘り、その穴にループ状のパイプを挿入、そしてその中に不凍液を満たすことで行われる。寒冷地に適した自然エネルギーの活用方法として積極的に導入が進められ、現在、町内5施設での運用が始まっている。その中の一施設である「ニセコ町民センター」は、町内最大となる10kWの暖房19台、冷房6台のチラーが設置され、これまでの重油ボイラーによる暖房からの脱却を図った。導入年にセンターの増築、施設利用者の増加があったため単純比較はできないが、重油代、電気代を合計した単位面積当たりの単価は約5割削減、一人当たりの単価では約6割の削減につながった。今後は、地中熱のみならず、温泉などの排熱を利用したヒートポンプの導入計画も、大型観光施設を中心に進めていく。