現在、環境問題に関するさまざまな書籍が出版されていますが、その種類の多さに迷わされてる方もいるのではないでしょうか。環境市場新聞編集部が厳選した本を紹介していきますので、気になった本があればぜひ手に取ってみてください。環境問題について一緒に考えていきましょう。
倉本聰/林原博光 著

愚者が訊く

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厳しさありユーモアありの賢者の語り
 テレビドラマ『北の国から』などの脚本家として知られる倉本聰さんは、主宰する「NPO法人 富良野自然塾」で環境教育の活動を行っている。その副塾長の林原博光さんを共同質問者として、各界の識者へインタビューした対談集。
 本書で賢者と呼ぶ対談相手は、ジャーナリストの池上彰さん、海洋学者の大島慶一郎さんら7人。「人間とはどういう生き物か、地球とはどういう星か、その関係はどうあるべきか」(281ページ)という根源的な問いかけに平易な言葉で答えていく。難解と思われがちな内容がすんなり頭に入るのは、自らを愚者と呼び、わからないことはわからないと、はっきり聞く態度を通した2人の質問者によるところが大きい。
 賢者の語りは、人間を取り巻く厳しい課題も伝えるが、そればかりではない。思わず感心する雑学知識やユーモラスなエピソードなどが随所にあり読者を飽きさせない。例えば氷の厚さは北極では平均2〜3㍍なのに南極は3000㍍ほどある、ストローを束ねて強く握るとすべて六角形に揃う、チンパンジーでも駆け落ちする……。自分を愚者だと考えながら内容を素直に受け止めたい本だ。

愚者が訊く 双葉社1000円+税 くらもと そう 1935年、東京都出身。作家・脚本家・劇作家・演出家。2006年より「NPO法人富良野自然塾」を主宰。はやしばら ひろみつ 1943年鳥取県出身。「NPO法人富良野自然塾」の副塾長。
永続地帯研究会 編

地図で読む 日本の再生可能エネルギー

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52の市町村がエネルギー自給率100%以上
 「区域(自治体の単位)で生み出される再生可能エネルギーによって、その区域のエネルギー需要のすべてをまかなうことができれば、永続的に区域を維持してくことが可能」(8ページ)。本書の編者である永続地帯研究会では、そうした場所を「エネルギー永続地帯」と呼んでいる。
 本書は、日本全体に「エネルギー永続地帯」が広がることを期待する同研究会が、再生可能エネルギー(太陽光・太陽熱、風力、小水力、地熱、バイオマス)の供給量や発電ポテンシャル、経済効果などを自治体ごとにまとめたもの。
 本書で紹介されているエネルギー自給率100%以上の市町村は52。それがエネルギー永続地帯だ。第1位は1136%の大分県玖珠郡九重町で、九州電力の八丁原地熱発電所が稼働している町。2位以下も長野県、福島県、熊本県などの比較的人口が少なく自然豊かな地域がランキングされている。永続地帯という観点からすれば、先進的なのは大都市ではないことがよくわかる。
 本書の集計によれば、東京都のエネルギー自給率は都道府県最下位(47位)の0.31%で、46位は大阪府の0.49%となっている。

日本の再生可能エネルギー 旬報社 1300円+税 えいぞくちたいけんきゅうかい 2005年度末発足。千葉大学公共研究センターとNPO法人環境エネルギー政策研究所(ISEP)による共同研究組織。「永続地帯」の試算と公表を実施している。ホームページ◎//sustainable-zone.org/