子どもエコ活動 約12万人が参加
「こどもエコクラブ」は1995年に環境省がスタートさせた、子どもの環境教育の支援事業で、現在は公益財団法人 日本環境協会の自主事業として進められている。対象は3歳から高校生までの子どもたち。環境活動に参加したいという意思があれば誰でも無料で参加し、協会のサポートを受けることができる。
「何をするか」は自分たちで決める
クラブの数は2000超
こどもエコクラブの登録数は2015年度で2127クラブ、12万2129名。クラブの特徴の一つは活動内容を参加する子どもが自ら考え決めることだ。内容は、地域の海や山など自然環境に特化したものから、身近なゴミ拾いなどの環境保全活動までさまざま。
「クラブにはサポーターの大人が1名参加すれば子どもは個人の登録も可能です。家族や地域の友達同士もあり、学校単位だと500人を超すクラブもあります」と事務局の東尚子さんは話す。
内容も規模も多種多様
愛媛県新居浜市で活動する「レインボーキッズ」は4人きょうだいとその両親がサポーターで参加する家族単位のクラブ。次男が全国フェスティバルに参加したことをきっかけに、クラブの活動が活発になってきた。棚田の野菜づくりや四万十川の生き物観察など地元の自然環境についての知識を深めるとともに、食卓にあがる食べ物がどこの国や地域から来たのか調べたり、家にあるダンボールをコンポスト代わりにして肥料をつくるなど、家族参加ならではの活動だ。
北海道釧路市の「こどもエコクラブくしろ」は、子どもたちに郷土の自然や資源を大切にする心を育んでほしいと設立された。学校や年齢の枠を超えて地域の子どもが集まる。主な活動の場は釧路湿原国立公園や阿寒国立公園。昨年は毎月1〜2回の頻度で公園に足を運び、自然観察や清掃活動などを実施した。
新潟県南魚沼市の「上田小学校エコクラブ」は全校児童64名が参加。毎年6月の遠足ではグループに分かれて「自然の宝物」探しを実施する。青空や残雪、小さな滝などを宝物として見つけ、それを発表する。また同校では活動を通じて地域を越えた他校との交流も積極的に行っている。
継続が自信につながる
こどもエコクラブは年度をまたいだ継続活動ができ、メンバーの追加も可能なため、新しく入った子どもをサポートしながら活動する流れが自然と生まれる。「自分も先輩のような活動をしたい」「年下の子に教えられるようになりたい」という参加者の声は多い。
事務局でも、環境問題に関する情報提供、環境カウンセラーなどの専門家によるアドバイス、1年に1回の活動報告会の開催、参加者同士の情報交換の場の提供など、さまざまな方法で継続を後押ししている。東さんは「活動報告の発表では質問に対し自分はこう思うと自身の意見をしっかりと伝えられる子が多い」と子どもたちの成長に感嘆する。経験の積み重ねが環境意識の育成とともに一人ひとりの自信にもつながっているようだ。
なお、こどもエコクラブの活動は、参加者から会費を集めるのではなく、企業や団体からの支援やイベントの協賛金などにより運営されている。東さんは「企業のCSR(社会的責任)にもつながるものなので、ぜひご協力いただきたい」と呼びかけている。
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登録するとエコまるバッジやメンバー手帳がもらえます!
みんなでエコ活動をはじめてみよう!
http://www.j-ecoclub.jp/
昨年(2015年)、活動開始から20年という節目の年を迎えたこどもエコクラブ。偶然にも1995年に会社を設立した日本テクノと同い年。取組みはそれぞれ違いますが、同じ年月を歩んできた団体を取材させていただき、勝手に親近感を覚えてしまいました。取材の機会をいただいた事務局のみなさま、本当にありがとうございました。
紙面でも紹介させていただきましたが、こどもエコクラブでは年に1回、各クラブの活動内容を発表する活動報告会が開催され、全国からたくさんのこどもたちが集まります。
写真は、広島県で活動するクラブの壁新聞。地元を流れる芦田川の上流から河口付近まで8ヶ所にわたって、どんな生物が生息しているのか調査した結果をまとめたものです。すでに17年目に入ったという調査。見られる生物に年々変化があるそうで、生息する生物の種類によって、水質が良くなっている、などの川の変化を見極めることができるそうです。継続した活動ができるエコクラブならではの調査結果ですね。