拝見!エコ現場・製造・物流・販売の現場では、どのような環境対策がなされているかそれぞれ取り組みを紹介。今号よりアパレルに焦点を当て、4回に渡って現場を取材する。
愛知県 西尾市役所http://www.city.nishio.aichi.jp/

一石二鳥のクールビズ
効果は省エネと地域PR

アンダーバー

 愛知県の南部ほぼ中央に位置する西尾市。2011年に一色町、吉良町、幡豆町と合併し現在の規模になった。全国有数の生産量を誇る抹茶やうなぎが特産品である。
 西尾市役所では、以前から照明の間引きや空調管理などの省エネ活動、ノージャケット・ノーネクタイのクールビズを取り入れていた。その後、東日本大震災の電力不足をきっかけにスーパークールビズも導入した。実施期間は5月15日〜10月31日。毎週水曜日をノー残業デーとする制度もある。2015年度は電気使用量5%減(2012年度比)と具体的な節電目標を設定している。
 スーパークールビズで取り組みに追加されたのは、ポロシャツなどによる軽装だった。それも単なる軽装ではなく、地域PRの戦略を盛り込んだもの。地元で開催されるハワイアンフェスティバルの際には、会場に近い吉良支所でアロハシャツを着用。市役所全体では、特産物やイベントのロゴをプリントしたオリジナルポロシャツを製作し、それを職員が着用することで宣伝効果を狙った。ただし、着用は任意。希望者は実費で購入するが、多くの職員がこのポロシャツを所有している。職員が一丸となり地域を活性化したいと考えているようだ。
 これまで抹茶の生産量が日本一になったときでも西尾の知名度はそれほど上がらず、宣伝の難しさを思い知らされたことがあった。だが「西尾の抹茶」とバックプリントした服装の効果は大きく、問合せは確実に増えているという。抹茶は現在、海外でもブームになっており、西尾市役所ではこれをチャンスと捉えて、日本文化を感じられるまちとして一層のPRを進めていきたい考えだ。
 そうした活動で、今後も市民一人ひとりが心豊かに暮らせるまちを目指していく。

西尾市役所
「西尾の抹茶」とプリントされたオリジナルポロシャツで執務する市職員

 西尾市役所はクールビズの導入で地域活性化の波及効果を得た。そこで今号を含め4回にわたり、アパレルに焦点を当て、その製造・物流・販売の現場ではどのような環境対策がなされているか、取り組みを紹介していく予定だ。

クールビズの歴史

 地球温暖化問題を背景に、省エネルギーによるCO2削減を目的とした軽装化「クールビズ」が始まって今年で10年がたつ。本格始動したのは2005年。だがそれ以前にも省エネ効果を狙った軽装化の試みはあった。最初は第2次オイルショックの影響を受けた1979年。「省エネルック」が発表され、当時の大平正芳首相自らが半袖スーツを着用し宣伝した。しかし馴染みのないデザインは一般に定着しなかった。よって今日の普及に至るまで30年以上を要したことになる。クールビズが受け入れられた一因は「ノーネクタイ・ノージャケット」という気軽さとファッション性を兼ね備えた活動だったからだろう。

こぼれ話 こぼれ話

 夏のスタミナ食として知られるうなぎ。うなぎといえば浜松をイメージする人も多いと思いますが、一色産うなぎの質と味わいは業界では有名で、地域ブランドにも認定されています。天然に近い環境で育ったうなぎは、ストレスが少なく肉質が柔らかいのが特徴。生産量は全国トップクラスを誇っていますが、西尾市にはうなぎを食べられる店が少なく、消費量が伸び悩んでいました。同所のポロシャツは、職員だけではなく各特産品の応援団体も着用して宣伝活動に励むことで、徐々に地産地消の文化が広がり、最近では地元にも店が増えてきたそうです。これからも市を挙げて地域活性化を図っていきたいと話してくました。

西尾市役所