拝見!エコ現場・製造・物流・販売の現場では、どのような環境対策がなされているかそれぞれ取り組みを紹介。今号よりアパレルに焦点を当て、4回に渡って現場を取材する。
メイド・イン・アースhttp://www.made-in-earth.co.jp/

栽培から加工まで
純オーガニックのコットン

アンダーバー

 東京都目黒区に本社がある株式会社 チーム・オースリーは「メイド・イン・アース」のブランド名で、オーガニックコットン製品の企画・製造・販売を手がける企業。衣類、肌着、布ナプキン、寝具、天然せっけんなど、心や身体に心地よい商品を届けている。
 1989年に同社を広告企画制作会社として立ち上げた代表取締役の前田剛さんは、〝子供の笑顔をつくりたい〟という一言をきっかけに、オーガニックコットン市場拡大のコンセプトづくりに携わる。コットンは環境負荷が少なく肌によいというイメージが定着している。しかし、企画を進行する中で、天然素材の代表だと思っていたコットンだが、栽培時に殺虫剤などの農薬が散布されていることが多いという現実を知り衝撃を受けた。真のオーガニック製品とは何か。自社の製品を通して、天然素材の素晴らしさを発信するため、1995年オリジナルブランド「メイド・イン・アース」を設立。肌に悩みを抱える人だけを対象とするのではなく、かわいらしさや風合いを感じてもらうことで、これまで関心のなかった人たちが、環境や社会問題に目を向けるきっかけをつくりたかった。

メイド・イン・アース

 オーガニックコットンとは、3年以上化学農薬・肥料が使われていない土壌から、有機肥料のみで栽培されたものをいい、遺伝子組み換え作物も除外される。同社はこの基準に加え製造工程でも極力化学処理を施さず、糸やタグなどもオーガニックコットン100%にこだわっている。
 一般の製造工程では、ワックスがけや脱脂、洗浄において化学処理や合成洗剤を使うことが多い。それを、自然由来のミツロウ、天然せっけん、お湯などで行う。製造後も、化学物質が移らぬよう、包装にも配慮する。完璧な自然製を求めるため製造現場の協力なしには実現できない。
 なぜそこまでこだわるのか。その理由を前田さんは、「化学薬品を使用したほうがアイテムも広がり、時間や手間が省けます。しかし、天然の風合いを保つため、そして〝探していた物にやっと出会えた〟というお客様の言葉と笑顔を思い出し、信念を貫きます」と語る。

メイド・イン・アース
写真下はオーガニックコットンと紡いだ糸。上はその加工製品。手前のブラウス・スカートの奥にあるのは生理用の布ナプキン

 「WITH PEACE」という社会貢献的なプロジェクトも行っている。カンボジアのかつて地雷原だった土地に綿の種をまき、現地の人に栽培、紡織、染色までの知識習得を支援する活動だ。今後もオーガニックコットンにはじまり、世界の情勢や地球環境に関する情報をワークショップや講習を通して伝え、より多くの人に意識を向けてもらいたいと望んでいる。

こぼれ話 こぼれ話

 2008年のデータによると、世界の耕地面積のうち、コットン農場が占める割合はわずか2%。しかし、世界で使用される殺虫剤の16%がコットン農場で散布されているといいます。コットンを効率よく刈り取るために使用される落葉剤、除草剤などとあわせると、生産者に大きな健康被害をもたらしています。オーガニックコットンの栽培は農薬を使用しないため、環境、人体への影響もありません。また、フェアトレードの規定が設けられているため、生産者への自立支援が可能。オーガニックコットンの栽培や取引は、地球環境だけではなく生産者や消費者にも良い影響を与えています。

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