拝見!エコ現場・製造・物流・販売の現場では、どのような環境対策がなされているかそれぞれ取り組みを紹介。今号よりアパレルに焦点を当て、4回に渡って現場を取材する。
株式会社ウインローダーhttp://www.winroader.co.jp/

リユース・リサイクルを軸に
新しい物流のしくみを創出

アンダーバー

 東京都杉並区にある株式会社ウインローダーは、"「いらない」が「ほしい」につながる感動を提供する"をモットーに新しい物流の形を展開している。
 1950年に運送会社として発足した同社は、3代目社長の髙嶋民仁さんによって事業構造の改革を行った。始めたのはリユース・リサイクルを軸にしたエコランド事業だ。モノの軽量化が進み、物流業界は厳しい価格競争を強いられる中、髙嶋さんはリサイクル活動に参加した経験から循環型物流のヒントを得た。まだ使えるものが次々と捨てられていく現実を目の当たりにし、これを必要としている人に届けたいという想いで取り組んだ。
 この事業、まずは専用トラックで顧客から不用品を「エコ回収」する。それを自社で運営するオークションサイトの「エコオク」に出品。落札されれば有効利用されるし、入札がない商品もリサイクルショップや海外で販売して徹底的にリユース・リサイクルに回し、どうしてもリユースができなかったモノは再資源化される。

メイド・イン・アース
エコ回収に使用する車両

 リユース手段拡大のため株式会社リサイクルリンクも設立した。東南アジアを中心にエコ回収品を輸出し、現地での再利用につなげる。当初は家具や調理器具などを主に扱っていたが幅広い品揃えに価値を感じてもらえるよう衣類も輸出の対象にした。多くの業者が抱えていた「衣類を回収しても販路がない」という課題にも応えられる。
 衣類の分野では新しい試みにも着手した。百貨店内のアパレルショップで利用客が着なくなった衣類を持ち寄り、それを回収する提携企業のCSRプロジェクトに参画。ワンシーズンに百貨店1店舗あたり1万着以上を回収し、リサイクルショップに回す実績ができた。今後はしっかりとしたビジネスとしての展開も考えている。
 エコオクで落札された金額の一部を利用して、金銭を介さない洋服交換会を運営する団体「xChange」の支援も行っている。交換会を開催する会場には、一般の参加者が不用になった衣類などを出品、ほかの人が出したもので気に入った品があれば持ち帰る。アイテムにはエピソードタグが付けられ、出品者は商品への想いを一言添える。「まだ着られます、高かったよ」などのストーリーによって、次の所有者も想い入れが強くなる。
 同社の目標は、循環型物流を通して人々に感動を与えること。現状の物流ルートにとらわれることなく、感動の提供を実現するための方法を、これからも模索していく。

メイド・イン・アース
メイド・イン・アース
xChangeは、自分の着なくなった衣服などを出品し、気に入った他の参加者の出品物があれば持ち帰るという、いわば物々交換の場。金銭を介しての品物のやり取りはない。ウインローダーはこのイベントの支援も行っている
こぼれ話 こぼれ話

 株式会社リサイクルリンクでは、東南アジアを中心に不用品を輸出し、現地での再利用に活かしています。主に家具や調理器具などを扱っており、より多くの商品が売れるための仕組みをご紹介いただきました。例えば、地面に額をつけて礼拝を行うイスラム教。マレーシアはイスラム教徒が多く、地面にあまり抵抗がないとされているため、ちゃぶ台のような背が低い家具が売れます。一方マニラは、大家族で家屋が大きいという特性があり、婚礼ダンスのような背の高い家具が好まれる傾向にあるそうです。やみくもに商品を送るのではなく、それぞれの文化や特性に根ざした商品を選別することが、再利用への近道であるとわかりました。