ホーム > 環境市場新聞 > Eco Story
Eco Story 環境活動を推進する企業の物語
#16/カゴメ株式会社http://www.kagome.co.jp/

感謝の思いをすべてに向けて

アンダーバー

 カゴメ株式会社は1899年の創業以来、人々の健康長寿に貢献したいという思いのもと、トマトをはじめとした野菜や果実などを生かした商品づくりを続ける総合食品メーカー。100年以上もの間、自然とその生態系がもたらす恵みに感謝しながら事業を進めている。
 持続的な企業活動を支える指針として、1999年に環境方針を制定した。2013年には、それを新・環境方針として再制定し、地球環境への感謝と、調和のとれた企業活動を行うべく、思いを新たに、そしてより強くした。
 安定して高品質な商品の提供を続けていくためには、原材料を育む農地や里山の維持・管理が何より重要となる。農地や里山は、健全な生態系のもとに成り立っており、生物多様性への配慮は同社にとって非常に重要な課題だ。そうした背景から自ずと生まれてきたのが、環境に配慮した栽培思想である。過剰な化学農薬や化学肥料は使用せず、有機質肥料である堆肥・緑肥を積極的に使用するという考え方だ。これを実践していくことで、安心・安全という価値を届けている。

カゴメは約7500種ものトマトの遺伝資源を保有し、加工用と生鮮用トマトの品種開発を行っている
カゴメは約7500種ものトマトの遺伝資源を保有し、加工用と生鮮用トマトの品種開発を行っている
  

 またカゴメは、創業者の蟹江一太郎氏の代から、農業を基盤とした「垂直統合型ビジネス」を実践している。種子から土づくり、栽培、収穫、一次加工、そして最終商品に至るまでグループ内で連携する経営方法である。
 例えば、トマトジュース用トマト「凛々子(りりこ)」の栽培は、契約農家が一手に担う。契約する農家とは栽培を始める前に価格を取り決め、苗を提供し、畑から収穫されるトマトの全量を買い上げる。加えて、その栽培方法も専属のフィールドマンが現地に赴き指導する。これにより農家は、常に高い収量が確保でき、経営の安定化を図れる。ここでは農地が健全に維持・管理されていく。
 そのシステムは耕作放棄地の抑制にもつながる。ひいては、農地が育む豊かな生態系の確保にも貢献していく。

カゴメのフィールドマンによる栽培指導
カゴメのフィールドマンによる栽培指導
仕切り

「たたんでくれてありがとう」

 カゴメの企業理念の1つでもある「感謝」は自然や生産活動の過程で携わる人々、そしてもちろん消費者にも及ぶ。
 飲用後の紙パックをたたむと「たたんでくれてありがとう」という感謝のメッセージが現れる。これはゴミの減容化を目的に、紙パックをたたんで捨てる文化を根づかせたいという思いから生まれたものだ。感謝の気持ちを通じて、消費者にもほんの少しだけ環境保全へ目を向けてもらいたい、そんな同社の思いが詰まった、ほほ笑ましいアイデアである。

「たたんでくれてありがとう」のメッセージ
ゴミ減容化の行為に感謝の気持ちを伝える「たたんでくれてありがとう」のメッセージを記載した。
折り曲げ部分を広げると文字が現れる
こぼれ話 こぼれ話

 カゴメと言えば、やはり「トマト」ですが、そのトマトは世界で年間1億4000万トンと最も多く消費されている野菜というのをご存知でしょうか。たしかにスーパーをのぞくと様々な品種があり、このような野菜はほかにありません。さらに今後も世界的な人口増に伴い需要がさらに拡大すると予想されています。
 このようなトマトの需要増に対応するためには、現在の世界の供給体制だけでは難しいため、カゴメはこれまで主要産地でなかった国での新たな産地育成や、農業技術開発に着手。2016年3月には、ポルトガルにグローバルトマト事業を支える研究開発センターを新たに設立など、拡大するトマト消費を充足するべく企業努力を続けています。