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日本テクノ協力会・日電協の水戸グループでは、猫の語り口が特徴のオリジナル情報誌「でんでん・みと情報」を定期的に発行しており、環境市場新聞では毎号のダイジェスト版を掲載しています。最新号やバックナンバーは右のバナーからダウンロードできます。

東京・上野公園の歴史が騒音対策につながる!?

アンダーバー

 吾輩は電気管理技術者の親方たちが飼う猫の〝でんでん〟である。今日は事務所に2人の親方がいる。読書好きで本に熱中すると無意識に大声で朗読する「活字殿」と『でんでん・みと情報』なる書物の制作者「物書き殿」だ。
 これで吾輩の常なる願い(丸まって安眠に身をゆだねること)はついえたはずだった。ふだんの親方たちの会話は、工事現場の騒音に匹敵するボリュームなのである。
 だが今日の2人は違った。活字殿が気落ちし、物書き殿がそれを慰めている様子。状況的に小声になるようだ。
「僕は本を読んでも知識が身につかない。頭に残らず、すぐに忘れてしまう」
「そんなことない」
「気休めはいいよ。君も、東京の上野公園であの紳士に会っただろ。通りすがりの見知らぬあの人の博識に比べたら……」
「ああ、公園の歴史を教えてくれた人か。江戸時代、三代将軍・家光が寛永寺を建て、寺には15人の歴代将軍のうち綱吉や吉宗など6人が埋葬されたとか、明治新政府誕生に不満を持った幕臣が寛永寺に立てこもり、それを長州の大村益次郎率いる新政府軍が大砲で打ち破ったため一帯が焼け野原になったとか、そこを整備して日本初の公園・上野公園が誕生したとか……教えてくれた人だったな」
「君はなぜ、そんなに細かいことまで覚えているんだ。ああ、やはり僕は……」
 平素の親方たちを知る吾輩は、会話が進むにつれ騒音が耳をつんざくと覚悟していた。だが予想に反し、小声の会話が続く。活字殿の沈み具合が度を超していたようだ。吾輩は、活字殿には気の毒だが、見知らぬ紳士が度々ここを訪問してくれないかと願った。