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気軽に「環境」を学べる、全国各地のさまざまな「体験型施設」を紹介していきます。
山梨県富士山科学研究所@山梨県富士吉田市

富士山の研究施設で環境学習

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 富士北麓、標高約1000メートル。アカマツの森にたたずむ「富士山科学研究所」。ここでは富士山の調査研究を進めると同時に研究内容をもとにした環境学習を実施している。

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この施設の最大の魅力は、富士山麓の広大な自然の中で学べること。敷地内には生態観察園と自然観察路の2つのコースがあり、開館時間であれば自由に出入りできる。
 生態観察園にはバードウォッチングコーナーもあり、水場に野鳥たちが集まる姿を観察できる。もう一つの自然観察路でぜひチェックしたいのは地面に穴が開いたような溶岩樹型。ここ剣丸尾の大地は約1000年前の噴火で流れ出た溶岩でできている。溶岩が流れてきた場所に木があり、その幹が焼失し、溶岩が固まったあとで穴になって残ったのが溶岩樹型だ。

 ここでは春から秋にかけてガイド付きで約1時間かけて回る"森のガイドウォーク"も開催される。麓の移り変わりや、動物と植物とのかかわり、時季に合った植物の解説が聞ける人気のイベントだ。

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 屋外のウッドデッキ広場では、「もりのおはなしかい」を月に1度開催。季節の自然をテーマにした絵本の読み聞かせに加え、工作やゲームなどが行われるほか、スタンプカードをためると森の材料を使った手づくりのプレゼントがもらえるなど、子どもに喜ばれる内容となっている。  本館1階のエントランスホールでは自然観察に関する展示が行われる。標本や植物、動物の写真展示など、季節によって変わる企画展が楽しめる。取材時には実際に研究に使われた3メートルもの植物の根がそのまま展示されていた。これは高山植物「オンタデ」の根。オンタデは富士山五合目より上の細かな石で覆われた荒れた土地でよく見られる。栄養もなく、雨水も下層にすぐ流れ込んでしまう場所。過酷な土壌で生き抜くため、全体の約80%以上もの長い根を持つという。通常は見られない貴重なものを観察できるのも研究所ならではの魅力だ。

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 そのほかにもプロジェクターを使ってクイズ形式で環境問題を学べる研修室、環境に関する図書を集めた環境情報センターなど充実した設備が多数ある。  2013年6月に関連する文化財とともに世界遺産として登録された富士山。美しい景観を眺めるだけでなく、もっと身近に触れ合うことで自然が持つ力とその大切さを実感できる。その橋渡し役になってくれるのが、この施設だ。

やまなしけん ふじさんかがくけんきゅうじょ
住所●山梨県富士吉田市上吉田字剣丸尾5597-1
電話●0555-72-6211(代表)
開館時間●9:00〜17:00
休館日●年末年始、館内点検日(環境教育や図書貸出業務などは、祝日を除く12〜3月の月曜日)
入館料●無料
ウェブサイト●http://www.mfri.pref.yamanashi.jp/
E-mail●www-admin@mfri.pref.yamanashi.jp
Facebook●https://www.facebook.com/Mt.FUJI.research.institute/

こぼれ話 こぼれ話

 第3回は"富士山に一番近い鉄道"富士急行線のフジサン特急に乗り込み、河口湖にやってきました!カーテンや座席、案内板…いたるところに現れる「フジサンクン」など58山のユニークなキャラクターに癒されながら、窓の外を眺めれば富士の絶景がみえてきます。外国人観光客の方たちと身を乗り出しながら、わくわくと胸を高鳴らせていたところで、いよいよ到着。駅舎内のカフェレストランで富士山をモチーフにしたかわいい「富士山カレー」と「富士山コロッケ」をお昼ごはんにいただいていざ出発です。
 生態観察園の中で紹介してもらった植物のひとつ、「ダンコウバイ」は揉むとほのかに夏みかんの香りがします。実はこの匂い、木が自分の葉っぱを守るために身につけているんだとか。人間には心地よいと感じる匂いでも、一部の虫にとっては苦手な匂い。植物は、こうしたことで命を守り、次の世代に繋いでいきます。
 さわやかな森の空気を感じながら、自然を学べるという環境はとても充実していました。「山梨県富士山科学研究所」さま、ありがとうございました!
(次回、訪問先のヒントは………宇宙を旅したあのマスコットキャラクター○○トン♪)

風の子楽習館
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