【今回の訪問先】
「日本テクノ上越グリーンパワー」
日本テクノのイメージキャラクターである河村隆一さんが、天然ガスエンジン発電所「日本テクノ上越グリーンパワー」を訪問した。当日はあいにくの雨。だが、河村さんと施設スタッフの環境への思いは、雨粒をはじき返すほど力強かった。
発電所を訪れた河村さんの印象に強く残ったのは「施設の清潔さ」だった。まるで半導体工場のクリーンルーム。所員の執務スペースは建物の中央にあり、左右に各7基のガスエンジン発電機(1基7800キロワット、合計約11万キロワット)を挟む場所。このエリアは土足厳禁で、来所者も室内履きに替えて入室する。清潔を保つよう規制を受けているわけではない。環境配慮の姿勢が、身の回りのことにも自然と及んだだけだ。河村さんは、そこに「環境への思い」を感じ取った。普段から植樹運動への寄付など環境活動に関心を寄せているだけに、発電所の運営姿勢に共感を持ち、強い印象として残った。
発電レベルで省エネを可能に
発電所の概要を説明するプレゼンテーションのあと、石井一夫所長の案内で所内を回る。まず中央操作室。発電機の高い機動性を、最小限の人員で制御できるよう情報機器が並ぶ。(電力は場合によって需要予測を上回ることがある。たとえば日中の気温が上昇し、空調を使う事業所が増え、電力消費量が急増するときだ。しかし、そんな事態でもエンジンが立ち上がり、定格出力(安定供給状態)に達するまでの時間はわずか10分。さらに停止までの時間は5分で済む。ここにも「無駄を省く」という省エネにつながる思想を感じた。
※画像をクリックすると大きなサイズで見られます。中央操作室。出力約11万kWもの発電所なのに「起動まで10分、停止まで5分」。つまり、すぐに動かせ、すぐ止められる。だから必要なぶんだけ発電できる。ここは、小まめなスイッチの入り切りという省エネ活動を、発電レベルでできる施設でした。ちなみに他の発電所では7時間かけて起動する設備もあるそうです。
排出ガスの環境性も徹底配慮
中央操作室から廊下に出ると窓越しに発電機棟内を見下ろせる。中に入るとエンジンの稼働音で声が聞き取れないため、貴重な予習の場だ。その後、建物の外に出て、防音パネルや排気筒も見学。周辺地域への配慮から通常より強化した防音パネルや徹底した排出ガスの処理法などを熱く語る石井所長。一言も逃すまいと耳を傾ける河村さん。2人は強く降りつける雨も気にならない様子だった。
※画像をクリックすると大きなサイズで見られます。排気筒。エンジンからの排出ガスにも環境配慮は徹底されていました。大気汚染防止法でNOx(窒素酸化物)は600ppm 以下という決まりがあり、地域の環境協定では250ppm 以下と定められているそうです。しかしこの発電所はそれらを大きく下回る200ppm 以下。自らを律するこの姿勢を、素直に素晴らしいと感じました。
世界最高の発電効率に驚き!
安全のためヘルメットを着用し、エンジンの稼働音に備え耳栓をして、発電機棟へ。エンジンの熱で室内は50℃にもなる。轟音により互いの声は聞こえない。それでも事前に説明した箇所を身振りで指し示す。声は届かなくても、石井所長の誠実さと河村さんの熱意ですべてを理解し合えているようだ。発電棟内を出る直前、今回の体験をより鮮明に残そうとスマートフォンで撮影を行う河村さんの姿が印象的だった。
※画像をクリックすると大きなサイズで見られます。 ガスエンジン発電機。発電効率は世界最高の49.5%だそうです。従来のガスエンジン発電から5%以上の効率改善をしたといいます。
僕は、ガソリン車のエンジンが生む動力が20~30%程度しか路面に伝わらないことを知っていたので、この約5割という数字は驚きでした。
発電所訪問を終えた河村さんはその日のブログに、環境に配慮した素晴らしい発電所だと記し、持続可能な社会のため、もっとエネルギーのことを勉強したいと意欲を示した。
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