温暖化対策「パリ協定」発効
各国の危機感高く 採択から1年足らずで
2016年11月、「パリ協定」が発効した。地球温暖化対策のための国際的枠組みが発効するのは2005年2月の「京都議定書」以来。先進国だけでなく途上国も含めすべての国が参加する、温室効果ガス排出削減の取り組みがスタートする。
2020年以降の新たな枠組み
以前の枠組みである京都議定書は1997年の気候変動枠組み条約第3回締約国会議(COP3)で採択され、それから発効まで7年余りを要した。しかも主要排出国であるアメリカは不参加だった。今回のパリ協定は2015年12月のCOP21において採択。そこから1年足らずでの早期発効だ。温暖化の影響とみられる異常気象や自然災害が相次ぐ現状に世界各国が危機感を抱き、55カ国以上批准などの発効要件を短期にクリアした。
パリ協定は2020年以降に始動する国際的な温暖化対策である。すべての参加国が5年ごとに自主的な温室効果ガスの削減目標を提出し、目標達成のために対策が義務づけられる。各国が削減に努め、今世紀後半には世界全体の排出量を「実質ゼロ」にする目標を掲げている。地球の平均気温の上昇を産業革命以前から2℃未満に抑え、それが1.5℃になるよう努力するという目標も併記されている。
国連に提出された主な国の目標は、日本が「2030年までに2013年比で26%削減」、アメリカが「2025年までに2005年比で26〜28%削減」、欧州連合(EU)が「2030年までに1990年比で最低でも40%削減」、中国とインドはGDP当たりの排出量(中国はCO2排出量)を2030年までにそれぞれ2005年比で「60〜65%削減」「33〜35%削減」。