人口 | 30,887人※2015年2月1日現在 |
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面積 | 255.43km²(境界未定部分あり) |
市HP | https://www.city.shingu.lg.jp/ |
新宮市ニューストピックス
- 2015/2/23
- 本編を公開いたしました。
- 2014/12
- 取材を行いました。
森林を守り育み活かす
世界遺産「熊野速玉大社」
日本最大の半島、紀伊半島の一角をなし、三重県との県境に位置する和歌山県新宮市。2005年に熊野川町と合併し、現在の市域となった。世界遺産である熊野三山の一つ、熊野速玉大社の門前町として発展し、また、熊野川流域に位置することから、古くには筏を利用した木材の集散地として栄え、市内では製材・製紙業が盛んに営まれていた。なお現在は、製紙工場は閉鎖されたが、製材業は数が減ったものの営業を続けている。
新宮市の森林面積を見てみると、およそ233k㎡と市の面積の9割以上を占めている。新宮市にとって森林は資源であり、長きにわたり密接な関係を築いてきた財産でもあるのだ。市では、その豊富な森林資源を活かし、環境に配慮した持続可能なまちづくりを継続的に展開している。
循環林業を推進
整備された作業道
まず新宮市が取り組んだのが、森林の健全な整備だ。適切な森林整備を行うことで、森林の持つ公益的機能が発揮され、森林資源の有効活用へもつながっていくからだ。
整備を行っているのは、市内にある二つの森林組合、新宮市森林組合と熊野川町森林組合。整備内容は主に二つあり、一つが「作業道」の造成だ。作業道は、森林内での効率的な作業に必要な道路で、森林法の規定に基づき設置される「林道」と比べ、低コストでの整備が可能。二つの森林組合では、年間5,000mから6,000mのペースで作業道を整備しており、今後も継続的に行っていく計画だ。
そして、もう一つが「間伐」だ。新宮市を含む熊野川流域は、元来大径材生産を中心に発展してきた地域だが、近年の需要減少による木材価格低迷などから伐期が延長され、立木がより大径化している。その一方で、新たな生産システム事業が展開され、市場への安定的な原木供給も求められ始めた。また、隣県では木質バイオマス発電所が稼動されており、今後は需要も高まる見込みだ。
そうした中で、大径化した立木をいかに効率よく搬出するかが間伐する上での重要課題だ。そこで、新宮市森林組合から搬出業務を請け負う、三重県に本社を置く前田商行では、オーストリア製の最新鋭のタワーヤーダを導入。タワーヤーダとは、トレーラをベースマシンとして、集材用のウィンチ、集材時にワイヤロープを高く上げる際に柱となるタワーを搭載した林内作業車である。従来のタワーヤーダと比較して、荷かけ量は2.9倍に増加。間伐の効率化に拍車をかけている。
樹皮はバーク堆肥に
生まれ変わる
間伐した立木の製材過程では、樹皮やおが粉、端材などが排出される。新宮市では、これれらの副産物にも着目し、循環林業を実践。市内に拠点を置くタオ熊野協同組合が、森林、木材の加工工程などで発生する樹皮、チップやおが粉を回収・加工し、紀南木材副製品株式会社が販売を行っている。タオ熊野協同組合が取り扱う原料の合計は、1年間におよそ41,778トン。樹皮は発酵させバーク堆肥にし、カナダ産のピートモスをブレンドした植生基盤材「キナンソイル」や、土壌改良材「みどり」に、チップは紙の材料に、そしておが粉は燃料として使われるパウダーへと生まれ変わる。