人口 | 57,147人※2015年3月1日現在 |
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面積 | 11.64km² |
区HP | http://www.city.chiyoda.lg.jp/ |
備考 | 環境モデル都市(2009年選定) 環境市場新聞40号掲載 |
千代田区ニューストピックス
- 2015/4/2
- 本編を公開いたしました。
- 2015/2
- 取材を行いました。
究極目標は“CO2排出ゼロ”のまち
空から見た千代田区
日本の首都、東京の中心に位置し、立法、行政、司法の主要機関が集積する東京都千代田区。区の中央に位置する緑豊かな皇居、世界的なビジネス街として発展する丸の内や大手町、そして世界から観光客が訪れる秋葉原など、多様な景観を持つ東京を代表するエリアである。夜間人口は約57,000人ながら、昼間人口はおよそ16倍の82万人にまで達し、区内の通過人口は約300万人にのぼる。
2007年、千代田区は次世代の子どもたちや未来の人々へ美しい地球を引き継ぐべく、経済と環境が調和した低炭素社会の構築、さらにはその発信を目的として「千代田区地球温暖化対策条例」を制定した。この条例では1990年比で2020年までにCO2排出量を25%削減する中期対策目標を掲げ、地球温暖化対策を進めてきた。
2009年1月には、日本政府より東京都で初となる「環境モデル都市」に選定され、更なる取り組みの推進に力を入れている。
区内全域“グリーンストック作戦”
2014年に策定した「千代田区環境モデル都市第2期行動計画」では、「高水準な建物のエネルギー対策の推進」「まちづくりの機会と場を活かした面的対策の推進」「地域連携の推進」これら三つの柱を中心に取り組みを行っていくことを明記した。その一つ「高水準な建物のエネルギー対策の推進」においては、「グリーンストック作戦」が2009年度より始動しており、低炭素化の実現を後押ししている。
「グリーンストック」とは、区内の既存建物を「ストック」、建物の省エネルギー化を「グリーン化」と表した千代田区独自の造語だ。区内には数多くの中小規模事業所が立地することから、区内全域の省エネルギー化促進には既存建物への対策が必須だと考える千代田区では、東京都による中小事業者向け無料省エネルギー診断制度を活用して、区内の建物に対する省エネ診断の促進を図り、診断結果に基づく対策の提案、さらにはメニューに対応した助成までをワンストップで提供する。グリーンストック作戦では2009年度に「神田駅西口周辺地区」、2010年度に「神保町三丁目および一神地区」、2011年度には「麹町一丁目~六丁目」とそれぞれモデル地区を選定し重点的に呼びかけを行い、現在はモデル地区に限らず、区全域を対象に作戦を展開している。2014年の助成制度活用によるCO2排出量は426トン(2015年2月現在)にのぼり、省エネ対策として最も多かったのは、LED照明への転換、次いで空調改修だった。
グリーンストック作戦報告会
また、年度末には、中小テナントビルオーナーや事業者を対象とした報告会が開かれ、作戦の成果報告、新規メニューの情報提供や省エネ相談も行われている。
6年間にわたり省エネ診断を積極的に進めてきた結果、東京都が実施する省エネ診断の年間受診件数は千代田区がその10%以上を占め、都内の自治体で6年連続1位の件数を記録した。
一方、区内の住宅用建物の多くはマンションであることから、区では「グリーンストック作戦(マンション版)」の準備も進める。マンション版では、区内の既存マンションから「モデルマンション」を募集し、マンションの管理組合と連携を図りながら、区が設置する専門家チームとともに、エネルギー面に関する方策を検討していく。築年数の経過したマンションは特に対策の余地があり、大幅な省エネルギー化につながると見込んでいる。
自転車を活用した面的対策
事業拡大が期待される
「ちよくる」
二つの目の柱「まちづくりの機会と場を活かした面的対策の推進」では、官民協働での取り組みが進められている。それが「コミュニティサイクル事業実証実験」だ。この実証実験は、区と(株)NTTドコモが協定を締結し、区内に自転車の貸出、返却拠点となるサイクルポートを設置し、サイクルポート間で自由に貸出、返却ができるネットワーク型自転車シェアリングシステムを構築した。
コミュニティサイクルは、区民などの投票により「ちよくる」という愛称がつけられ、自転車のカラーは赤で統一。坂の多い区内でも利用しやすいよう電動アシスト付自転車が採用され、貸出・返却の制御や電動アシスト機能のバッテリー残量の把握が可能な遠隔制御機能やGPS機能などの機能も付与された。自転車の利用にはパソコンや携帯電話または区内に設置されている無人登録機による会員登録が必要である。
2014年10月に実験を開始し、約4ヶ月間で延利用回数は29,000回を突破。2015年3月20日時点で自転車保有数は300台を超え、サイクルポートは27ヶ所にまで広がった。
実験データから、平日は通勤、休日は観光目的での利用が多く、公共交通の補完的役割を果たしていることもわかった。
自動車から自転車への転換を図り、CO2の排出削減へとつなげるだけでなく、地域内の回遊性の向上、観光の活性化、放置自転車対策や健康増進など、あらゆる効果が期待できる本事業。今後は、自転車の利用しやすい環境づくりにも目を配りながら、周辺自治体との連携も視野に入れ、ネットワークの拡大を目指す。