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電力需要逼迫と価格高騰、温暖化対策が喫緊の課題となってる昨今。再生可能エネルギーの利用、それを有効活用するための地域エネルギー供給システムの構築について、早稲田大学理工学術院の横山隆一教授がわかりやすく解説します。

電力市場に広がる新たなビジネス形態
節電取引、仮想発電所、セット販売……

 2008年にアメリカのグリーン・ニューディール政策の柱としてオバマ政権が打ち出したスマートグリッド構想。ICTの活用により電力の流れを需給の両面から制御し、安定的な電力供給や再生可能エネルギーの大量導入などを目指した。
 対して日本は、すでにICT技術を駆使した送配電運用が進み、多くの電力網が老朽化したアメリカとは事情が異なっていた。そのため5〜10年で各需要家にスマートメーターを設置して次世代化に向かう方針をとった。
 そして2011年。東日本大震災で電力設備は損傷を受け、電力不足にも陥った。エネルギーの有効利用の必要性が叫ばれる中、経済産業省と環境省を中心に進められたのが「スマートコミュニティ」の実証実験だった。直訳なら「賢い地域社会」。電力だけでなく熱や未利用エネルギーも含めたエネルギーを地域単位で統合的に管理する。そこに新交通システムなども組み合わせる。実証実験は横浜市など4都市で2011年に開始し、2015年に完了した。
 その実験成果の1つが「デマンドレスポンス」だ。電力供給が不足しそうな場合、需要家に節電を求める方式である。節電に協力した需要家には電気料金を割り引くなどの対価を与える。4都市のいずれでも効果が認められ、新たなビジネスとして注目された。
 その進化形ともいえるのが「ネガワット取引」だ。電力削減分を売買するもので、デマンドレスポンスとの大きな違いは小売電気事業者が電力の調達方法の1つとして利用できる点である。政府はネガワット取引のルールやガイドラインを2016年度中に整備し、2017年4月からネガワット取引を拡大する。需要家が節電した電力を専門のネガワット事業者「アグリゲータ」が集約し、小売電気事業者に供給する。電力節減分の取引が大量になされると期待されている。
 さらに本年度から再生可能エネルギーの余剰電力を蓄電しておける「仮想発電所(VPP)」の実証事業も始まった。大規模な電力貯蔵装置を電力系統内に設置して需給バランスの安定化を図る試みだ。また電力分野以外の企業がほかの商品と組み合わせ、電力を割引価格で供給する「セット販売」も始まっている。
 電力全面自由化のもとでの数々の新規ビジネス。今後の展開から目が離せない。

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