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名古屋市科学館@愛知県名古屋市

基礎を学ぶには親しむのが近道

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 愛知県名古屋市中区、緑豊かな白川公園内に位置する名古屋市科学館は、創設50年以上の歴史ある総合科学館。掲げるテーマは「みて、ふれて、たしかめて」。
 世界最大のプラネタリウムがある「天文館」、物理・原理・技術に触れる「理工館」、生命・生活・環境について紹介する「生命館」の3つの分野の展示品で、不思議な科学の世界を体感できる。そのうち今回は、生命館2階の「地球のすがた」を取材した。

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 まず視界に飛び込んできたのは、約1億年前に南半球の大陸で繁栄したとされる恐竜「マプサウルス」の全身復元骨格。その迫力に魅了され、目を奪われてしまいがちだが、ここではもう一歩踏み込んで考える。なぜ彼らは絶滅したのか――それは地球環境の変化が関係しているらしい。

 

 地球が誕生した45.5億年前、大気の約96%は二酸化炭素だった。同館主任学芸員である理学博士の西本昌司さんは「地球の歴史上、現在は最も二酸化炭素濃度が低い時代。地球温暖化の進行により二酸化炭素を減らそうといわれますが、極端に少ないと植物は育たず動物も生きていけません。生命の維持には酸素と二酸化炭素のバランスが重要で、問題は温暖化のスピードの速さ」と話し始めた。地球誕生からまもなく海ができると二酸化炭素は海中に溶け込みカルシウムやマグネシウムと結びつき石灰岩へと変化。さらに生命の誕生で光合成が始まり徐々に酸素と二酸化炭素の比率は逆転していった。
 ここでは、そうした変遷をパネルの解説や二酸化炭素がつくり出した石灰岩などの展示でわかりやすく理解させ、地球環境が大きく変化した経緯を実感させてくれる。すると、最初の問いの答えがみえてくる。大型動物である恐竜は、環境の変化に適応しきれず、絶滅したとの推測が浮かぶ。   

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 「二酸化炭素を増やし過ぎたり減らし過ぎたりさせず、適当な濃度を維持すべき」という話を体験できるのが「地球環境ゲーム」だ。ボールを炭素に見立て、盤面に描かれた生態系を巡るピンボール・ゲームである。植物に当たると酸素が増え、人間活動に当たると二酸化炭素が増加。酸素と二酸化炭素を常に適度なレベルに保つと、生態系を長く維持できゲームが続く。遊びながら自然界のつながりや相互作用を学べる。

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 西本さんは、こんな思いを持って地球環境の変化を伝え続けている。「子どもたちには、科学的なものの見方を身につけてほしい。環境に優しいと思われる行動を根拠のないまま突き進めていくと、時に道を誤る場合があります。大気・海・地下・生物はすべてつながっていて、互いに影響し合うのだから。基礎を学ぶには、その事柄に親しむことが近道です。こうした場を提供することで、子どもたちが、地球や未来について考えるきっかけをつくっていきたい」。



なごやしかがくかん
施設名●名古屋市科学館
住所●愛知県名古屋市中区栄2-17-1 芸術と科学の杜・白川公園内
電話●052-201-4486
開館時間●9:30~17:00(入館は16:30 まで)
休館日●月曜日、第3金曜日、年末年始ほか(詳しくはHP にて)
観覧料●展示室+プラネタリウム:大人800 円(400 円)、大学・高校生500 円(200 円)、中学生以下無料(カッコ内は展示室のみ。他に割引制度などあり)
ウェブサイト●
http://www.ncsm.city.nagoya.jp/

こぼれ話 こぼれ話


 今回は理工館6階の「最先端科学とのであい」も見学させていただきました。こちらでは「二酸化炭素地中貯留実験」を展示。地球温暖化対策として、大気中の二酸化炭素を地下に埋める実験が進められているのです。まずは、粒度の異なる2種類のガラスビーズで地層をつくり、下からガスを注入します。浮力により、そのガスは地上に向かって上昇しようとしますが、狭い空間では気泡が大きくならず、粒子の隙間に引っかかって溜まっていきます。やがて貯留した二酸化炭素は地下水に溶け、石となって沈殿する仕組みです。ガスは注入し続けると浮力が大きくなり、一部は地層を抜けてしまいますが、一定時間地下に貯留できることがわかっているそうです。今、世界各国で地球温暖化対策が進められているため、こうした技術の進歩は注目の的となるでしょう。私たちも電気の使い方を見直すなど、小さな工夫を積み重ねて一緒に地球を守っていきたいですね。