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気軽に「環境」を学べる、全国各地のさまざまな「体験型施設」を紹介していきます。
新江ノ島水族館@神奈川県藤沢市

生き物の命を預かる自覚の醸成

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 神奈川県藤沢市、相模湾に面した新江ノ島水族館は右手に富士山、左手に江の島を臨むロケーションに恵まれた水族館だ。相模湾沖合は暖流と寒流がぶつかる外洋の近くにあり、世界に類を見ない多様な生物の宝庫となっている。〝相模湾と太平洋×生物〞をテーマに、遊びながら学べる〝エデュテインメント型〞の水族館として、世代を問わず多くの観光客が訪れる。
 この水族館では、2回分の入場料で年間パスポートを取得することができ、期間中は何度でも入場が無料になる。さらにパスポート会員には子どもから大人まで楽しめる限定プログラムも用意されている。今回は、そのプログラムの1つ「子どもボランティア〜深海生物研究所〜」を取材した。


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 「研究所」があるのは水族館に併設された「なぎさの体験学習館」。海や生物と触れ合いながら自然とのつながりを学べる施設だ。
 約半月をかけて行われるこのプログラムは、相模湾や駿河湾の深海生物を子どもたちが飼育し、その過程で発見した内容を来場者に発表するというもの。彼らは飼育員や図鑑からのヒントなどをもとに飼育・研究を進めていく。オオグソクムシやボタンエビなどの深海生物は「光の届かない海底」に生息しているという事実を知るのもその過程だ。他の魚と同じ環境では生きられないため、遮光ネットで水槽を覆い、照明には赤い光を使用して、自然に近い環境を再現するといった工夫を施すようになる。来場者には「オオグソクムシの目が傷んでしまうので、カメラのフラッシュをたかないでください」と声もかける。

 

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 そうして、いよいよ迎える発表のとき。「ユメカサゴは赤色をしていますが、海底では黒色になります。その仕組みを実験で再現します」という案内に来場者は興味を示す。発表に実験やクイズをまじえようと考えたのは、子どもたち自身。わかりやすく伝えるための工夫だ。展示や発表のほか、集客にかかわるチラシ制作や呼び込みも、子どもたちが自ら行う。プログラム担当の夏目さえさんは「大人が答えを与えるのは簡単だが、子どもたちが自分で考え行動することが成長につながる。スタッフはサポート役に徹し、彼らの意見を尊重している」と話す。
 子どもたちは、この体験学習を通して生き物の命を預かるという自覚が芽生え、自然環境への理解を深めていく。環境を保全しようとする姿勢が、無意識のうちに醸成されるプログラムといえる。プログラムを終えるころ、子どもたちは、人前で話す力、自ら考える力も向上させ、普段の生活に戻っていく。  

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 発表終了後の反省会で前日より来場者が少ないという意見が出た。原因の1つはチラシに開催場所が書かれていなかったこととわかり、翌日のチラシの内容や配り方を見直すことになった。こうして子どもたちは改善を重ねながら、「研究所」を運営していた。
 新江ノ島水族館では、今後も「また来たくなる水族館」を目指し、楽しく学べる展示やプログラムを展開していく。



しんえのしますいぞくかん
施設名●新江ノ島水族館
住所●神奈川県藤沢市片瀬海岸2-19-1
電話●0466-29-9960
営業時間●時期により異なる(HP にて確認可能)
休館日●年中無休(2017 年)
入館料●大人2,100 円、高校生1,500円、小中学生1,000 円、幼児(3歳以上)600 円(他に年間パスポートなど割引料金あり)
ウェブサイト●
http://www.enosui.com/

こぼれ話 こぼれ話


 新江ノ島水族館では、毎月第3日曜日を「えのすいecoデー」として、海岸のゴミ拾い活動を行っています。砂浜には、人間が排出したごみだけではなく、貝殻や流木など自然の漂着物が打ち上がります。ごみを分別した後、再利用できそうなものはビーチコーミングアートに。ビーチコーミングアートとは、こうした漂着物を収集して装飾をすること。「なぎさの体験学習館」に用意された素材を使い、自由にアートを楽しむことができます。それぞれ工夫が施され、個性的な作品が展示されていました。このようなイベントを通して、子どもたちはリサイクルや自然の大切さについて楽しみながら学ぶことができています。

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