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Eco Story 環境活動を推進する企業の物語
#21/フジッコ株式会社

合言葉は「すこやかフジッコ」

アンダーバー

 2013年にユネスコ無形文化遺産に登録されるなど、世界中から関心が高まってきている「和食」。中でも日本の伝統食であり、おせち料理にも欠かせないのが「昆布」と「豆」だ。フジッコ株式会社は、その食材に早くから着目し、日本の食卓を豊かに彩るとともに日本人の健康を支えてきた。
 またフジッコは創業当時から消費者や時代のニーズも先取りしている。代表例がそれまで量り売りだった昆布のパック化だろう。その後も消費者のライフスタイルの変化をいち早く察知し、手間暇のかかる昆布や豆を簡単に食べられるようにとレトルト商品にして提供するなどしている。
 商品の利便性や手軽さだけでなく、「安心・安全」にも早くから力を入れ、合成保存料の撤廃や人工甘味料の不使用などを実践してきた。

フジッコ商品
量り売りだった食材のパック化、ライフスタイルの変化を察知したレトルト商品化、
安全・安心を考えた合成保存料不使用など特色のある商品ラインナップ。


仕切り

提供する商品の付加価値は健康
  ――その大前提となる環境保全

 時代の変化に合わせた環境保全活動も、京都議定書の制定当初から積極的に行ってきた。その背景にはフジッコの「すこやかフジッコ」という考えがある。健康という付加価値を持った商品を提供したい。そのためには食材と従業員が健康であることが必要で、その前提に地球環境の「健康」が重要だと考える。
 例えば、廃棄ロスの少ない製法や廃液量の少ない調味液の採用といった各工場での取り組みがある。それを実践した「にしん姿煮」の製造では、使用する調味液を年間14トン削減している。
 容器の改良もそのひとつ。強度・安全性はそのままに、廃棄物削減や輸送による環境負荷を低減できるよう開発を進める。デザートの主力商品である「フルーツセラピー」のパッケージは、年々改良を重ね、15年前の発売当初と比較して28.6%の薄肉化に成功した。
 いずれの商品も、味や安全性はそのままに、表には出ない努力がふんだんに盛り込まれているのだ。

仕切り

 フジッコでは「食育」を通じて自然環境保全への意識づけも行っている。
 「黒豆で親子食育体験」というイベントは、黒豆の「作付け」から「収穫」、それを使ったおせち料理づくりまで、親子でコミュニケーションをとりながら一貫して学ぶ食育体験プログラム。昨年で9回を数えた。
 参加者からは、「農作物が育つ前の大事な過程を、子どもが自分の目で確認し、経験させることができた」など感謝の言葉が多く寄せられる。収穫された黒豆を実際に調理し、日本の伝統的な食文化の裾野を広げるとともに、素材への興味、農業への正しい理解を促す。それが健全な食文化の醸成にもつながると考えている。
 食を通じて社会の役に立ちたいと願う同社は、昆布と豆の食文化と持続可能な地球環境を守るとともに、自然の恵みに感謝しながら事業活動を続けていく。

黒豆の作付け
「黒豆で親子食育体験」の様子。兵庫県篠山市の畑で黒豆の作付けに参加する親子。

こぼれ話 こぼれ話

恥ずかしながら、今回の取材の機会をいただくまで、フジッコといえば、昆布と煮豆の印象しかなく、豊富な商品ラインナップに驚きました。なかでも驚いたのは、ナタデココとカスピ海ヨーグルトを日本で初めて商品化したのが同社ということ。現在、国内でナタデココを作っているのはフジッコだけなんだとか。また、フジッコではナタデココなどの発酵食品の開発で蓄積してきたバイオ技術を生かし、家森幸男博士(京都大学名誉教授)との共同研究により、カスピ海ヨーグルトの商品化にも成功。食卓から日本人の健康を支えています。