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日本テクノが考える「省エネ活動」、「電気設備の安全・安心」、「電力小売」など切り口にした解説や、「環境」に対する思い、「お客様」との協業などを紹介。

日本テクノは電気の安心・安全、安定供給を第一に考えるとともに、
「経済成長と省エネの両立」に向け、
日々新たな商品の創造とサービスの充実を図っております。
このコーナーでは、その時々の社会事情における企業姿勢を紹介しています。

人がつくり、人が使う すべてに人がかかわるから人による温暖化対策を

アンダーバー

 2015年12月に採択された温暖化対策「パリ協定」が2016年11月に発効した。世界の温室効果ガス総排出量の55%以上を占める55カ国以上が批准したのち30日後。この基準により、パリ協定は2016年11月4日に発効した。
 2016年の日本は、例年豪雪になる地域でも、雪ではなく雨が多く、北海道は連続で台風が上陸した。そのほか各地でも大雨被害があり、10月には夏日が続き、猛暑日もあった。世界的にも急激な温度変化など異常気象が多数報告されている。最近は異常気象が異常ではなく通常になった印象すら受けてしまう。
 アメリカと中国という2大排出国が大方の予想よりも早くパリ協定を批准したのも目の前で起きている異常気象への警戒感があったからだろう。2国の批准が引き金になり、インドやEUなどが動いた結果、パリ協定は早期発効に至った。

 パリ協定は、各国が温室効果ガスの排出削減の自主目標を明示し実行していくという取り決めである。日本が掲げるのは「排出量を2030年までに2013年比で26%削減」だ。
 この目標の実現に向けては、家庭部門からの排出量を2013年比で約4割減らすのが条件とされている。2015年の国勢調査で単身世帯が3分の1を超え、その急増が報告されている現在、目標達成が危ぶまれるとの声も聞こえる。
 とはいえ、現状では温室効果ガス排出の要因になっている「電気」は、人々の生活に不可欠なものだ。電気は、人が工夫を凝らしてつくり、人が安全に管理しながら送り、人が使う。すべてに人がかかわっている。
 それを踏まえて考えれば、温暖化対策のために私たちができることは、電気を「上手に使う」ことであろう。家庭でも企業でも一人ひとりの小さな積み重ねが、大きな影響を与える。技術の進歩と普及も不可欠だが、それをどう使い、排出削減につなげるかは、やはり人次第なのだ。

 日本テクノが電力使用量を「見える化」したSMARTMETER ERIAを発売したのは2008年1月。「見える化」することで、省エネ活動につながると考えた。その後、「理解(わか)る化」と名づけた活動で、警報時の対策やどうすれば削減ができるのかをユーザーと共に考えていき、誰もが行動を起こせる事業場のルールづくりを進めていった。
 さらに、多くの従業員の目に触れることで、省エネ意識を啓発できるのではないかとの発案によりSMART CLOCKの開発を始め、2011年5月から販売を開始した。電気の使用状況を、ふだん目にする時計として「見える化」した商品は高く評価され、幼稚園児までがSMART CLOCKの示す表示を見ながら省エネ活動を実践している。これはわかりやすい情報と明確なルールを提示できれば、誰もが「上手に使う」ことが可能になると認識できた事例である。
 自動化の技術開発や商品化の効果は期待できる。その一方で人の意識改革が進めばより大きな効果が加わる。すべては人がかかわっているものだからだ。

 パリ協定が順守されても、地球温暖化のスピードは少し落ち着く程度だとする見解もある。パリ協定の活動が開始される2020年でなく、明日でなく、今何ができるのかを考え実行する──それが、人が豊かに暮らせる地球環境を次世代に残さなければならない私たちの使命と考える。