日本テクノは電気の安心・安全、安定供給を第一に考えるとともに、
「経済成長と省エネの両立」に向け、
日々新たな商品の創造とサービスの充実を図っております。
このコーナーでは、その時々の社会事情における企業姿勢を紹介しています。
再エネのみでは厳しい
地球温暖化に対する施策
一人ひとりの力を追い風に
2017年10月4日付の日本経済新聞に「環境後進国ニッポン」と題した特集記事が掲載された。戦後の高度経済成長期に深刻化した公害問題を各種政策で乗り越え、2度のオイルショックも革新的省エネ技術の開発などで克服した日本はかつて「環境先進国」と呼ばれた。それが今、国際社会の共通課題である地球温暖化対策で各国に遅れをとり、この分野の「後進国」になっている。他国に差をつけられたとする記事が示す根拠は、主に発電分野における日本の現状だった。
温暖化対策は、二酸化炭素(CO2)など温室効果ガスの排出削減が柱となるが、日本の発電はアメリカなどと比べて同じ量の電気をつくる際、より多くのCO2を排出している。国際エネルギー機関(IEA)による2014年の1kW時当たりのCO2排出量を引き、日本が556gなのに対し、アメリカ、ドイツ、イギリスはいずれも400g台だと示している。
排出量が大きいのは原発停止の影響により火力でまかなった事情もあるが、再生可能エネルギーの普及度にも一因があるという。太陽光や風力などの再エネが占める割合が、日本では相対的に低い。
普及が進む他国に対して、日本は制度やコスト面の問題で思うような進展をみせていないという。
ここで、同記事でも少し触れている再エネの課題について解説しておく。安定供給の側面からみた再エネ導入の難しさだ。
日本の再エネは太陽光発電が大きなシェアを占めるが、今のところその発電量を使い勝手によって自由に制御することはできない。太陽の出ない夜間はほぼゼロで、昼間でも曇天なら量は少ない。しかも、不足だけが問題ではない。過剰な発電も重大なトラブルを引き起こす。
電気は貯蔵が難しいエネルギーだ。よって発電とほぼ同時に消費するのが前提になる。移動するスピードは1秒間でおよそ30万km。発電所でつくられた電気は、瞬時に需要家のもとに届く。そのため需要と供給を常に合わせる必要がある。発電した電気が消費されないと、周波数や電圧が変調をきたし、最悪の場合、大規模停電になる。
しかし、空模様は人間の都合を考慮してくれない。曇天時の少ない発電量で需給が均衡を保っていたとき、急に日が差し太陽光発電の電力が増えると、供給は過剰になる。そうした場合、併用していた火力発電などの出力を減少させ対応しなければならない。つまり太陽光もCO2排出量の多い火力発電の存在が欠かせないのだ。
現状では、天候に左右される再エネ分の発電量を、その影響を受けない別の発電方法の電源で用意しておく必要がある。しかも、その発電方法にはタイムラグの生じない機動力が求められる。そうした各種電源の組み合わせがエネルギーミックスで、CO2排出量の多少だけを基準にその組み合わせを構成してしまうと、電力の安定供給はおぼつかなくなる。
どの国も各種電源を組み合わせている。自然条件に左右される再エネには、異なる電源を持つ隣国との間で緊急に電力を融通する仕組みなどをつくり対応している。その点、海に囲まれた日本は、条件的に不利な面もあるだろう。
それでも、かつては困難を乗り越え「先進国」と呼ばれた環境分野。切り拓く道は見つけられるはずだ。一人ひとり、一社一社の「エネルギーを無駄なく使う」という姿勢で、そこに強い追い風を吹かせたい。