日本テクノは電気の安心・安全、安定供給を第一に考えるとともに、
「経済成長と省エネの両立」に向け、
日々新たな商品の創造とサービスの充実を図っております。
このコーナーでは、その時々の社会事情における企業姿勢を紹介しています。
創刊50号の節目に環境問題の変遷を顧みて刊行の意義を問う
本紙・環境市場新聞は今号で通巻50号を数える。節目を迎えた機会にしばし過去を振り返り未来に向けた考察の足がかりにしたい。
本紙第1号を発行した2005年7月から、さかのぼること約半世紀。戦後の高度成長期のさなか1960年に池田内閣による「所得倍増計画」が発表された。当時の日本の年間電力使用量は1000億kW時程度。2010年のおよそ10分の1だった。それが経済成長の進捗に伴い、電力消費は急増していく。「三種の神器」と呼ばれたテレビ、冷蔵庫、洗濯機が広く普及し、人々は身近な生活の場面でも技術の進歩やモノの豊かさを感じていく。
その一方で経済成長の負の側面も露呈していった。産業規模の拡大や自動車の大衆化などによる公害問題だ。全国で光化学スモッグが発生し、外で遊ぶ子どもたちは屋内に戻された。河川や近海にはヘドロが堆積していた。有毒物が広範囲にわたって廃棄され、多くの身体を蝕んでいた。
そんな発展と弊害の両側面を持った時代は1970年代後半に変化をみせる。2度にわたるオイルショックなどを背景に省エネルギー化が進み、産業構造も資源多消費型の「重厚長大」から、情報革新型の「軽薄短小」へとシフトしていく。同時に公害の悪影響を反省し、さまざまな法制度の整備や工場における対策がなされ、大気汚染や有害廃棄物の問題は収束していく。
やがて迎えるバブル期の1980年代後半から1990年代にかけて取り沙汰されるようになったのが地球温暖化問題だ。1992年にはこの問題に対処するため国連で気候変動枠組み条約が採択された。地球温暖化はさまざまな表れ方をする。海面水位の上昇、極端な暴風雨、干ばつ、熱中症、蚊など媒介生物の生息域変化による感染症の拡大、農作物の被害など。最近よく耳にする豪雨や豪雪などの異常気象もその影響が指摘される。
温暖化の原因の多くは人為起源による温室効果ガスである。人類が豊かになるとの思惑で消費し続けた化石燃料からの排出がそのほとんどだ。これは日本が高度経済成長で豊かさを享受した陰で、公害問題が深刻化していった構造に酷似している。
そして2005年2月、温室効果ガス排出削減に向けての国際的な法的枠組み「京都議定書」が発効した。
その2005年に本紙第1号を発行した。以来、環境問題や、そこに密接にかかわる電力業界の情報を、わかりやすく多くの方々に届け、問題解決の一助になるよう取り組んできた。
そこにはもちろん、小社の事業を円滑に進めようとする狙いもある。だが12年半にわたる50号という長い積み重ねがビジネス上のメリットを得るだけの目的で継続できるものではない。小社社員の平均年齢は36.1歳。ほとんどが高度経済成長期の公害問題を経験していない。当時の大人たちが試行錯誤を繰り返して深刻な汚染を解消し、手渡してくれた現在の日本で生活を営んでいる。
温暖化問題の構造がかつての日本と酷似しているならば、今、大人である私たちが、その解決に向けて努力するのは当たり前だ。きれいにされた場所をもらい受けたのだから、暮らしやすい環境を次世代に手渡すのは当然のマナーである。そう思い至り、美しい地球環境を後生につなげなければならぬという意志で発行を続けてきた。その思いは今後も変わらない。