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生物多様性レポート

生物多様性を維持していくために私たちに何ができるのか、
その可能性を探るコーナーです。

目を向けよう外来種問題

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ミドリガメの引き取り年間500匹

 ひと昔前、夏祭りの縁日では「カメすくい」に行列ができていた。そこで販売されているのはミシシッピアカミミガメの子ども「ミドリガメ」、アメリカ原産の外来種だ。日本人にとってカメは縁起物の象徴とされており、特にミドリガメは私たちの生活に身近な存在だった。だがそのミドリガメが、外来種問題で注目されるようになった。

 「心の豊かさや命の尊さを教えてくれる生きた教材”ミドリガメ”が、いきなり悪者扱いされ始めました。彼らは何も悪くない」と話すのは、静岡県賀茂郡にある体験型動物園iZoo(イズー)の園長、白輪剛史さんだ。施設の特徴は爬虫類・両生類と触れ合えることと、飼えなくなった外来種、主にミドリガメを引き取っていること。
 白輪さんは、生物を輸入し水族館や動物園に卸す動物商でもある。「外来種を輸入している張本人ですから、殺処分されるくらいなら引き取る責任があると感じたのです」。

 ミドリガメは環境への適応力や繁殖力が強く、飼えなくなって自然界へ放つことで大量繁殖を繰り返している。その数は全国で850万匹といわれる。農作物などへの被害がある一方、これほどの数が定着すると根絶させるのは難しい。もはや生態系の一部として確立しており、ミドリガメがいなくなると現在の生態系が崩壊する恐れもあり、特定外来生物として規制対象に指定するのは見送られた。
 イズーでは年間500匹ほどを引き取っている。当初、白輪さんは手のひらサイズだったミドリガメが大きく成長し飼いきれなくなることが原因だと思っていた。しかし、実際には、住居の移転や病への感染対策といった理由が多くを占めていた。
 「最後までペットの面倒を見ないのは無責任という声をよく聞きますが、少なくとも当園にお連れになる方は十分責任を果たしている。引き取り手を探して見つからず、殺処分しか方法がなくなり、やむを得ず来園するのです」。当日はなかなか園を離れられない人や泣き出してしまう人もいる。この取り組みがテレビで取り上げられた際、自分のカメが映ったと連絡をくれる人もいた。飼い主は引き渡した後も変わらぬ愛情を持ち続けていた。

白輪さんはより多くの人に外来種問題について知ってほしいと考え、ミドリガメの巨大池建設プロジェクトの資金をクラウドファンディングで募った。約500人が共感し、建設費の半分が支援された。

園長の白輪剛史さん園長の白輪剛史さん

 2018年5月に縦25メートル横10メートルの巨大池がオープンした。以前からいたミドリガメも移管されのびのびと池を泳いでいる。
 「お願いしたいのは外来種のペットを自然界へ逃がさないこと。飼いきれなくなったら相談してほしい。それが飼い主の責任を果たすことになります」。白輪さんは日々、園内のミドリガメをはじめ爬虫類・両生類1匹1匹に声をかけている。住む場所は変わっても、ここには過ごしやすい環境と愛情がある。

こぼれ話 こぼれ話


同園は爬虫類を見て触れる体感型動物園。しかし、爬虫類は苦手…という方も多いのではないでしょうか。実は私もその1人です。白輪さんは「爬虫類嫌い」の殻を破る自信があるといって園内を案内してくれました。エントランスを入ると、早速イグアナらしき生物がノソノソ…。顔も足も肌質もすべてがいかつく感じ、遠くで眺めるのが限界でした。
次はウーパールーパーのゾーンへ。不思議な見た目に興味が湧き、背中に触れてみるとつるんとして、おたまじゃくしのよう。次第に身体をすくい上げられるようになり、ウーパールーパーをかわいいと思ったのです!
さらにカメの餌やりへ。カメは懐かないと思っていましたが、たくさん集まってきます。のんびり野菜を食べる姿が、これまたかわいい…。今までにない感情です。やはり怖くて触れない生物もいましたが、爬虫類への印象が変わったのは事実。白輪さんは「皆さんに爬虫類を好きになってほしいとはいわない。ただ嫌いでもなく、普通に思ってくれたらうれしい」と話します。皆さんもiZooに行けば、新しい発見があるかもしれません♪

体験型動物園iZoo(イズー)
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