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電力需要逼迫と価格高騰、温暖化対策が喫緊の課題となってる昨今。再生可能エネルギーの利用、それを有効活用するための地域エネルギー供給システムの構築について、早稲田大学理工学術院の横山隆一教授がわかりやすく解説します。

実現可能――電力網の国際連系
動き出したスーパーグリッド

 欧州では電力網の国際連系が推進されているが、その背景には電力自由化に伴う取引市場の形成がある。
 1993年、北欧のノルウェーで卸電力取引所が設立され、1996年にはスウェーデンも参加し、世界初の国際的な取引市場・ノルドプールに発展した。ここから始まった国際連系は、EU諸国のみならずバルト諸国、トルコ、北アフリカなどにまでおよび、国際間の電力取引を可能にしている。
 取引に拍車をかけるのが自然エネルギーの大量導入で、出力変動対策としての国際連系送電網の「柔軟性」が高く評価されている。例えば2013年に余剰な風力発電電力の輸出目的でつくられたイギリスとアイルランドの国際連系線は、出力変動対策にもつながることがわかり、アイルランド国内のさらなる風力発電導入を可能にしている。
 このような国際送電網は日本でも検討されている。2017年4月に発表された「アジア国際送電網研究会」(公益財団法人 自然エネルギー財団)の中間報告書では、自然エネルギーを軸にアジア全体を結ぶ「アジア・スーパーグリッド」構想を取り上げた。モンゴルの太陽光発電・風力発電を主な供給源とし、中国、韓国、ロシア、日本を国際送電網でつなぎ、アジア全域での活用を目指すものだ。
 また2015年には世界最大の送電会社・中国国家電網公司(SGCC)が、「グローバル・エネルギー・インターコネクション(GEI)」構想を発表。これは世界を高圧送電網でつなぐ壮大な構想で、2030年までに各大陸内の送電網形成、2040年までに大陸間送電網形成という目標を掲げている。
 この2つの構想に関しては、SGCC、韓国電力、ソフトバンクグループおよびモンゴル送電会社間で覚書が結ばれ、事業性の検証を進めた結果、技術的・経済的に実施可能との報告がなされている。
 電気事業は、経済合理性と同時にエネルギー安全保障や環境適合性を満たすことが求められる。エネルギー自給率向上や安定供給、低炭素化などの要素も踏まえ、総合的観点から国際連系の実効性を判断していきたい。  

横山隆一・早稲田大学理工学術院 環境・電力システム研究室 教授。電力技術懇談会会長。環境・エネルギー・電力システムの市場分析に特化。再生可能エネルギーやスマートグリッドに代表される環境・エネルギーシステム研究の第一人者。
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