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電力需要逼迫と価格高騰、温暖化対策が喫緊の課題となってる昨今。再生可能エネルギーの利用、それを有効活用するための地域エネルギー供給システムの構築について、早稲田大学理工学術院の横山隆一教授がわかりやすく解説します。

自然災害が多発する状況下──
地域マイクログリッドの意義と自立的需給運用

 スマートグリッドやスマートコミュニティといった次世代エネルギー・社会システムの形態の1つに、マイクログリッドがある。その特徴は、①再生可能エネルギー(再エネ)をはじめとする分散型電源による電力供給②自営電力線などを用いた常時・非常時の電力供給③地域内エネルギーを活用した災害時の自立運転──である。これまで再エネを地産地消で活用するマイクログリッドも試作されたが、規模が小さいため建設費が割高と受け取られ、電力不足時には商用電力系統からのバックアップも必要で、普及が遅れていた。
 だが近年、太陽光パネルや蓄電池などの分散型電源機器の大幅なコスト低減が達成され、自立運転が可能なエネルギー管理システム(EMS)の開発も進んだことから、地方自治体、新電力、復興地域でマイクログリッドが構築され始めている。今後は災害多発地域、島嶼、過疎地、無電化地域といった自立的な電力供給が求められる場所での導入が期待される。
 こうした流れを政府も後押しする。資源エネルギー庁は、2020年度「地域の系統線を活用したエネルギー面的利用事業費補助金」として支援を始めた。地域マイクログリッド構築事業とマスタープラン作成事業の2分野で民間事業者などを公募。すでに構築事業1件とマスタープラン作成事業10件が採択され、事業が進行中である。
 この支援事業の特徴は災害時に設置者が送配電事業者所有の系統線を借り受け活用することが義務づけられる点にある。北海道や千葉県の全域停電を受け、経済産業省が災害時にも電力供給を継続できるグリッドの重要性を認識した結果であり、分散型電源として既存の発電機のほか太陽光・風力・マイクロ水力・バイオマス発電、蓄電池、EVなどが設置される。
 災害時の自立的運用においては、あらかじめ電力需要、太陽光・風力発電量の予測を行い、分散型電源の運転計画を作成し、その後リアルタイムに需給運用と電圧、周波数制御を行うエネルギー管理システムの整備も不可欠としている。マイクログリッドと商用系統との連系・解列時の潮流解析や事故解析も実施しなければならず、簡易な解析ツールの開発も望まれる。そうした周辺技術も誘起させつつ地域マイクログリッドの構築は進展していくと見られている。

横山隆一・早稲田大学理工学術院 環境・電力システム研究室 教授。電力技術懇談会会長。環境・エネルギー・電力システムの市場分析に特化。再生可能エネルギーやスマートグリッドに代表される環境・エネルギーシステム研究の第一人者。
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