「豊かな生活と環境」への期待の高まりを背景に日本らしさ・地域らしさを推進する運動が活況を呈しています。「環境知識」では気候変動・生物多様性の話から注目の政策、地産地消運動まで幅広く取り上げ、そのポイントをわかりやすい解説も交えてお届けします。

太陽光発電
「自然と暮らしがつながる時代」(2)

 2012年、世界の太陽光発電の導入量は対前年比35%増、5年前の2007年からは約16倍と急速な拡大をみせている。太陽光発電について、前回に続き今回は1997年の京都議定書以降の歴史背景と開発の経緯について紹介する。
1998年、京都議定書で定められた温室効果ガスの排出削減を実現すべく省エネルギー法が改正された。省エネ措置の報告義務などが課せられ、太陽光発電の需要が急速に拡大。日本は太陽電池生産量で世界一になった。
2002年「RPS法」が成立。電気事業者が供給する電力に、太陽光や風力などの再生可能エネルギーにより発電された電力を、一定割合以上含まなければならないという法律だ。これにより、電気事業者および各家庭に設置された太陽光発電システムからの余剰電力が、活発に購入されるようになると期待された。
だが2005年、積極的な研究開発が進む一方で、それまで導入量世界第1位であった日本が、環境問題への関心が高いドイツに追い越される。国の助成制度が終了したことで設置件数の伸び悩みが続く。
そして2012年7月、再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度が施行。2013年10月に経済産業省が発表した制度開始後1年間の太陽光発電認定容量はそれまでの累積導入量の約3.8倍に達した。
世界では、アメリカやアジアを中心に市場が拡大。例えば、アメリカのカリフォルニア州では2003年という早期に導入されたRPS制度が、再生可能エネルギーの比率を2020年までに33%まで引き上げるよう義務づけている。メガソーラーへの活発な投資が順調に増えた場合、アメリカは2016年に中国を抜いて世界最大市場になるとの予測もある。
今はまだ日本の発電電力量の1%程度を占めるに過ぎない再生可能エネルギー。環境に合ったエネルギーの組み合わせや需給バランスの調整など取り組む問題は多くある。発明から約60年がたち、ようやくそのシステムが暮らしの身近なところへ浸透し、日本の未来をつくるエネルギーとして動きだしている。