エコニュースWebマガジン > 環境市場新聞 > 河村隆一の訪問!エコスポット

【今回の訪問先】
「新潟三面川水系 水力発電所」

 今回の「訪問! エコスポット」は創刊50号の特別企画。日本テクノのイメージキャラクター・河村隆一さんの連載コーナーに馬本英一社長が参加し、新潟県三面川水系の水力発電所を訪問した。圧倒される自然の大きさと、人智を尽くし懸命に制御していく人間の営為に、2人はてらうことなく敬意を表した。

役割は洪水防止と流水機能の維持そして発電

 水害を未然に防ぐ。河川の流水量を適切に保つ。貯水池の景観が観光資源になる。そこから生じる自然の力は無駄なく発電に利用する――多目的ダムは人の暮らしを幾重にも支える施設だ。巨大ダムを見下ろす河村隆一さんが「建造や運営には、言葉では表せないほど大変な努力や知恵の積み重ねがあるんでしょうね」と誰に話しかけるでもなくつぶやいた。その言葉に、隣の馬本英一社長が小さくもしっかりとうなずく。

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水資源を有効利用する奥三面ダムと発電所

 集合場所の新潟駅近くから自動車で約2時間。車中で水力発電所の概要説明を受けながら到着したのは、この水系では最大の奥三面ダム。山々に隠れて見通せない遠方まで大量の貯水で覆われた景色を前に、2人は息をのむ。総貯水容量は東京ドーム約100杯分の1億2550万立方メートル。その水が地下水路を通って最大落差102メートルの水圧で川下にある奥三面発電所の水車を回す。

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Ryuichi's Voice

 この流域は、県内でも有数の多雨豪雪地帯で、年間の降水量は約3,000mmにも達するそうです。そのなかで、最大の貯水量を誇るのが奥三面ダム。過去に三面ダムが計画高水流量を上回る洪水となり、甚大な被害を受けたため建設されました。クリーンエネルギーとしての水力発電の重要性を考え、さらに水資源の有効利用と地域活性化を図ります。奥三面発電所では最大で34,500kWが発電され、この水系で一番大きな電力を生み出しています。


取水施設から水路で発電所へ

 昨年度、日本テクノが供給した電力のうち約2割が水力によるものだった。それを担った施設が、この三面川水系の3発電所である。発電時に温室効果ガスを排出しない電源で、発電に利用するのは水面近くの水。深層は水温が低く、それを放流すると下流の漁業や灌漑(かんがい)に悪影響をもたらす可能性があるからだ。「あらゆる側面から環境負荷を考えて配慮されているんですね。電力の供給を受けている当社にとっても本当にありがたく思います」と馬本社長が頭を下げた。

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 ここは奥三面ダムの左岸に設置された取水施設の中。この施設でダムの水を取り込み、長い水圧鉄管(690m) の水路を通して、川下の発電所に送り込むそうです。
 取水設備はダムの水位に合わせて取水ゲートを上下する仕組みになっていて、写真にあるワイヤーによって巻き上げているとのこと。これは下流への影響を配慮してつくられたもので、常にダム表面近くの水を取水するようになっています。そんな細かい配慮を積み重ねながら、電気はつくられていました。  


ダムに隣接している三面発電所

 次に訪れたのは最下流に位置する三面発電所。ここは水路を使わず、すぐ横にある三面ダムからの水流を直接発電に利用している。一般に水力発電は水流で回転させる水車と、その動力で電気をつくる発電機が1組になっている。この三面発電所には、それが2組あり、うち1組が12年に1度のメンテナンス作業の最中だった。普段は見られない内部の構造を目にすることができた。クレーンで引き上げた水車は、旅客機の巨大なジェットエンジンを思わせる。自然の力を利用することに対する畏敬の念が、その大きさに表れているようだった。

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 水車と発電機の点検をしていたこの三面発電所の形式は「ダム式」と呼ばれるそうです。それに対し奥三面発電所は「ダム水路式」。文字通りダムの水を直下で利用するか、水路を使って運ぶかの違いです。ここは前者なのでダムに隣接して発電所が設置されています。建物内に水車や発電機があり、屋外のダム放水が間近に見える場所に変圧器や送電設備が備えられています。普段は何気なく使う電気も、こうした大きな設備や支える人たちがいて初めて自分の元に届くのだと実感しました。


発電所の運転・監視は遠隔で操作

 最後の訪問スポットは発電管理センター。ここでは三面川水系3発電所のほか合計15の発電所を遠隔で運転・監視している。機器に表示されたデータを真剣に見つめる職員に、2人は先に目にした巨大施設を思い浮かべながら「ありがとうございます」と謝意と敬意のこもる言葉をかけた。

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 三面川水系の3カ所をはじめとする12の所管水力発電所と管理受託の1カ所、さらに2つの太陽光発電設備を含めた合計15の発電所を遠隔で運転・監視しているのが、この発電管理センターです。職員2名が必ず常駐する24時間体制。これによって、各発電所の無人化を実現したそうです。
 3階建ての建物の1階エントランスには、各発電所や観光地などの配されたジオラマが展示されていて、親しみやすくわかりやすい情報の公開にも力を入れていることが感じられました。


河村隆一の訪問!エコスポット「新潟三面川水系 水力発電所」
最後に取材にご協力いただいた新潟県企業局の皆さんと記念撮影

三面川水系のダムと発電所

河村隆一の訪問!エコスポット「新潟三面川水系 水力発電所」

 三面川水系の3発電所を運転・監視するのは新潟県企業局。現在、同局では12カ所の水力発電所を所管しているが、その合計最大出力の64%をこの3発電所の電力でまかなっている。今回訪問したのは、一番大きな電力を生み出す奥三面発電所の動力源「奥三面ダム」と、水車や発電機を内部から取り出す大がかりなメンテナンス作業が実施されていた「三面発電所」(隣接する三面ダムも含む)。そして、三面発電所から自動車で約1時間の場所にある「発電管理センター」。


「新潟三面川水系 水力発電所」訪問中の動く!河村隆一はこちらから

河村隆一さん 訪問!「新潟三面川水系 水力発電所」
【音楽】河村 隆一「Life」