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日本テクノ協力会・日電協の水戸グループでは、猫の語り口が特徴のオリジナル情報誌「でんでん・みと情報」を定期的に発行しており、環境市場新聞では毎号のダイジェスト版を掲載しています。最新号やバックナンバーは右のバナーからダウンロードできます。

でんでんが将軍慶喜!?浜離宮帰りの親方の夢

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 吾輩は電気管理技術者の親方たちが飼う猫の〝でんでん〟である。吾輩が散歩から戻ると、親方のひとりが机に伏せ寝していた。昨日、東京に出張し、ついでに浜離宮(浜離宮恩賜庭園)を見学してきた親方である。ほかの親方たちに、庭園の美しさを興奮さめやらぬ口調で語っていた。舞台俳優顔負けのツバキを飛ばしながらの説明が、余計に疲労を蓄積させたのだろう。ぴくりともせずに眠っていた。
 幸いほかの親方たちもおらず、久方ぶりに静かな夕刻であった。吾輩も安眠のときを楽しむべく、定位置につき、丸まった。眠りにつくと、不可思議な情景が吾輩の夢に現れた。いや、これは吾輩の夢ではない。そこで伏せ寝している親方の夢だ。われわれ猫族は、時折、他人の夢を共有してしまう因果な性質を持っているのである。ああ、これで安眠もかなわぬものとなった。
 夢の中で吾輩は、15代将軍徳川慶喜になっていた。鳥羽伏見の戦いから逃れ、軍艦開陽丸に乗り、現在の浜離宮にある船着き場「将軍お上り場」で下船したところだ。そこで歴史にあるとおり、勝海舟を呼び出した。そこに駆けつけてきた勝海舟は、伏せ寝している親方だった。
 勝海舟である親方は、将軍である吾輩に向かい「この〝将軍お上り場〟は今でも原形を保って残されているんですよ。150年以上もたっているのに、すごいですよね。私は、昨日ここに来て、この目で見たんですから本当ですよ、上様!」と言った。
 吾輩は伝えられる歴史のとおり、「あとはよろしく取りはからえ」と命じた。このあと勝の親方は、たぶん西郷隆盛と会談し江戸開城に動くのだろう。