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日本テクノ協力会・日電協の水戸グループでは、猫の語り口が特徴のオリジナル情報誌「でんでん・みと情報」を定期的に発行しており、環境市場新聞では毎号のダイジェスト版を掲載しています。最新号やバックナンバーは右のバナーからダウンロードできます。

吾輩がおしゃべりに!?帰国猫に長談義

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 吾輩は電気管理技術者の親方たちが飼う猫の〝でんでん〟である。元来、吾輩は寡黙で孤独を好む気質である。それが先日、自身も驚くほどの長談義をさらけ出していたのである。
それは、吾輩が静寂を求め、松の木の枝で午睡していたときのこと。隣の家に飼われるフカフカという名の猫がきた。彼は、主人とともにアメリカから越してきた、帰国子女ならぬ帰国猫である。そのフカフカがヒゲが触れるほど顔を近づけ、アメリカと日本の違いをとうとうと語る。そのうち「アメリカの人間様は自由の精神を伝統的に持っている」「日本の人間様は、せこせこして気に入らない」とのたまった。
なぜ、人間のことなどで反論しようと考えたか未だ不明だが、「気に入らない」の物言いが引き金となり我知らずぶちまけていた。吾輩の口から出たのは、前日に親方たちが気分良く大声で語っていた伊勢神宮の話だった。
「日本の人間様は、せこせこしているだけではないわ。日本で最高位の神社とされる伊勢神宮を知らぬのか。つい先頃、式年遷宮の行事があり、吾輩の飼い主も見物に行ったばかりじゃ。20年に一度、新しい神殿をつくり、奉っている神体を移す。総費用550億円にもなる大行事なのだ。それを日本の人間様は1300年も前に始め、代々引き継いでおる。建国から200年少々のアメリカとは格が違うわ」その後、吾輩は伊勢神宮の敷地面積にはじまり、内宮・外宮・別宮といった構成、歴史、周囲の街並み、参拝客数まで、およそ3時間は語った。もちろんフカフカはいつの間にか姿を消していた。
吾輩に飼い主の気質が伝染したのではないかと、一抹の不安を抱いた。