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電力需要逼迫と価格高騰、温暖化対策が喫緊の課題となってる昨今。再生可能エネルギーの利用、それを有効活用するための地域エネルギー供給システムの構築について、早稲田大学理工学術院の横山隆一教授がわかりやすく解説します。

パッケージ型インフラ海外展開
広がるスマートコミュニティーへの期待

 独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)とインドネシアエネルギー鉱物資源省は、2013年7月、ジャカルタ近郊のスルヤチプタ工業団地におけるスマートコミュニティ実証事業開始に向けた基本協定書(MOU)を締結した。
 インドネシアは内需拡大により経済成長がめざましく、エネルギー消費が急速に伸びている。しかし、大規模発電所の建設遅延、送変電系統の容量不足、メンテナンス不備に起因し、停電や電圧降下など電力品質は劣化している。これにより製造工場は多大な損害を受けており、今後の工業団地の発展に向けて電力の安定供給と品質改善が急務となっている。
 2010年から両国が「スマート&エコ工業団地モデル」の導入を検討した結果、実現のうえで最適なこの工業団地が選定された。ここでは、電力品質のさらなる安定化技術、エネルギーマネジメントシステム導入による省エネと需給調整、共通基盤通信インフラシステムが実証される。
 これに先立ち、2010年6月、日本政府は21世紀の日本の復活に向けた「新成長戦略」を閣議決定し、21の政策を今後優先的に取り組む「国家戦略プロジェクト」として位置づけた。そのうちの一つに「パッケージ型インフラ海外展開」が据えられている。日本政府は、これにより、原子力発電や、鉄道、上下水道、スマートグリッド・スマートシティ、再生エネルギー活用といったインフラビジネスの海外展開を進める日本企業への支援体制を整えることを目指している。今回のインドネシアの案件も、まさに、この路線に沿ったものである。
 経済産業省は、アジア地域が2005~2030年平均で年率5.2%の高成長を遂げ、この間、インフラ投資ニーズ(エネルギー関連分野)は6兆~8.3兆ドルと膨大な規模が見込まれるとしている。また、先進国においても、原子力発電や高速鉄道など、環境面、安全・安心面で優れた技術を導入・活用したインフラ需要は高まっている。
 モノづくりを得意とした日本にとっては、設計・製造から完成後の管理運営・メンテナンスまで含めたパッケージ型インフラ輸出、すなわちシステム化技術への転換には困難も伴おう。しかし、環境やインフラ分野における旺盛な諸外国の需要に対し、日本が有するスマートコミュニティー技術やNEDOが推進してきた内外での実証経験を生かし、海外に展開できれば、地域発展、雇用創出、環境保全、安全・安心な社会の構築に、大きく貢献ができることが期待される。