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電力需要逼迫と価格高騰、温暖化対策が喫緊の課題となってる昨今。再生可能エネルギーの利用、それを有効活用するための地域エネルギー供給システムの構築について、早稲田大学理工学術院の横山隆一教授がわかりやすく解説します。

電力の安定供給、価格低減、
安全性確保の協調を求めて

 2010年に作成された第3次エネルギー基本計画では、2030年に原子力および再生可能エネルギーの比率を約70%(うち50%を原子力が占める)にするとしていた。しかし、東日本大震災に起因する原子力発電所事故により、エネルギー政策は方向転換をせざるを得ないこととなった。
 今回の第4次計画(2014年4月11日閣議決定)では原子力発電を重要なベースロード電源と位置づけ、将来的に原発稼働を継続させる方針を明らかにし、再生可能エネルギーの導入推進も強調されている。これらを踏まえると、中長期(今後20年程度)のエネルギー政策の基軸になるのは天然ガス、再生可能エネルギーそして原子力となる。
 世界の各地域に賦存する天然ガスは、調達が安定しており、化石燃料の中では最もクリーンであることから、火力発電の主役に躍り出た。しかし、海外からの大量購入により天然ガスの輸入総額は、約7兆円に達しており、電気料金の上昇につながっている。北米からのシェールガス調達を視野に入れたコスト低減が必要である。
 再生可能エネルギーとして期待が大きかった太陽光発電は固定価格買い取り制度(FIT)導入後、設置申請が加速し、政府目標の2020年2800万キkWに達する勢いである。しかし、その着手率は14%と低く、認定を受けただけで、設置費用が下がるまで着工しない、設置の権利を転売する、メガソーラーを50kW以内に小分けし連系協議などをすり抜けるといった利益優先が目立ち、環境への貢献など吹き飛んだ感がする。このFITも電気料金の上昇の要因となっている。
 電気料金の上昇に歯止めをかけるのが原子力の再稼働である。今回の計画では原子力規制委員会が規制基準に適合すると認めた場合、その判断を尊重し原発の再稼働を進めるとしたことは合理的といえる。原子炉製造では、2006年に沸騰水型炉の主要メーカーである東芝が、加圧水型炉の技術を有している米ウェスチングハウス(WH)を買収している。2007年には日立製作所が米ゼネラル・エレクトリック(GE)と合弁で子会社を設立し、双方とも沸騰水型炉を採用している。また、加圧水型炉を採用している三菱重工業は2007年、仏アレバと中型炉開発を担うアトメアを設立した。このように日米は複数の電力会社、メーカーの組み合わせで2種の炉に対応でき、安全な原子力発電設備輸出への期待も大きい。
 今回、原発依存度は明示されていない。我々消費者が、安定供給、電気料金、環境そして安全性を総合的に判断し決めることになる。