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電力需要逼迫と価格高騰、温暖化対策が喫緊の課題となってる昨今。再生可能エネルギーの利用、それを有効活用するための地域エネルギー供給システムの構築について、早稲田大学理工学術院の横山隆一教授がわかりやすく解説します。

電力設備の補修もスマート化へ

 新規制基準に基づく原子力規制委員会の審査をクリアしていた九州電力の川内原子力発電所1号機が、2015年8月11日に臨界に達し、原発再稼働の第1号となった。川内原発では、1号機のほかにも2号機が新規制基準をクリアしており、関西電力の高浜原発3・4号機と、四国電力の伊方原発3号機も適合認定を受けている。また島根原発3号機と大間原発は新設中だ。
 しかし、これらの原発が次々に運転を開始すると考えるのは難しい。仮にこれらが順調に稼働したとしても、2030年時点の電力需要と推計される1兆㌔㍗時弱には遠く及ばず、その15%程度にしかならない。期待される太陽光発電も、原子力発電所1基と同じ電力量を生み出すためには、敷地面積9000㌶(山手線内側面積の約1・3倍)が必要で、実現は容易ではない。
 すなわち電力会社は、今後は保有している発電および送変電設備をフル稼働して、電力供給に努めなければならない。ところが日本の電力設備は昭和中期の急速な経済発展時に新規設備の拡充が行われ、その後30~50年が経過している。これまでも、これら従来設備を補修して継続的な活用をしてきた。電力供給力不足の状況の中では、このような電力設備の補修がより重要になっていく。
 旧来から電力設備は、主に3種の補修を実施している。すなわち、法律に従った定期補修、機器メーカー推奨期間に基づく補修、 故障または破損による緊急補修である。ここでの課題は、「故障・破損での設備停止による損害」と「安全性重視に偏った過剰な補修頻度による経済的損失」だ。
 そうした中、効率的補修計画策定の重要性が認識されCBM(Condition-Based Maintenance)という方式が用いられるようになった。設備の機器状態を監視し、補修時期を決める方法である。ただ、この方式は、電力設備内の多数の機器ごとの補修が中心になる。系統全体に与える影響は、不明確なまま残ってしまう。
 このような状況を背景に近年は大震災に起因した電力不足の経験から、電力の供給信頼度を重視したRCM(Reliability Centered Maintenance)と呼ばれる信頼度志向補修の必要性が指摘されている。スマートメーターと情報通信技術を組み合わせた電力システム用ネットワーク端末を発送配電設備に設置し、設備状態を収集分析し、適切な補修実施時期の判断を行う方法だ。電力設備の運転保守の信頼性向上ひいては電力設備の延命化を実現するものである。
 設備をつくり続ける時代から大切に使う時代へ変革が求められている。

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