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兵庫県神戸市

兵庫県神戸市

環境貢献都市“こうべ”

ベイエリアのシンボル
「神戸ポートタワー」

兵庫県の県庁所在地、神戸市。9つの区から成る政令指定都市である。1868年の神戸港開港以来、日本を代表する国際港湾都市として発展し、他都市をリードする「先進性」を身につけてきた。
1995年に発生した阪神淡路大震災では、最大震度7を記録。市街地や港、道路などが甚大な被害を受けたが、震災後には「市民力」を生かした「防災福祉コミュニティ」が結成されるなど、市民の絆はより強いものとなっていった。
そして、その16年後に起こった東日本大震災は、市のエネルギー問題を再考する契機となった。エネルギーを大量消費する大都市が、低炭素都市の実現に向け率先して取り組むことで他の都市へと活動が波及していく。そう考えた神戸市では、これまで培ってきた「先進性」と「市民力」を土台に、市民、事業者、行政が一体となった取り組みを加速させていった。

地域特性を生かした「創エネ」

株式会社ノーリツが
市有施設の屋根を活用して
設置した
「神戸港太陽光発電所」

2013年3月、同じ兵庫県の尼崎市などとともに神戸市は環境モデル都市に選定された。これを受け2014年3月に「神戸市環境モデル都市アクションプラン」を作成。「ベストバランスエネルギー都市」「みどりあふれる都市」「生活を楽しむ都市」の3つの目標を柱とした取り組みを展開している。中でも「ベストバランスエネルギー都市」の実現に向けた取り組みが活発だ。
「KOBEろっこう・かもめ発電」と名づけた事業では、市の土地や建物屋根など公有財産を活用した太陽光発電を進めるほか、民間事業者や一般住宅への積極的な導入も促進する。日照時間が長く、温暖な瀬戸内気候という地域特性を生かした「創エネ」の取り組みだ。市内には、小規模のものからメガソーラーまで、多くの太陽光発電所が設けられ、2012年度末までに小中学校や下水処理場などの市関連施設100カ所以上への設置が完了した。設置数は現在も増加している。住宅用の太陽光発電の普及も進んでおり、2013年度末には設置件数が約1万2,000世帯となった。また、同年度には年間約1,400件の設置補助申請があった。

FCVの導入

本格普及に期待がかかるFCV

そして今、神戸市で最も注目されている取り組みが「水素」の利用だ。
2013年6月、日本経済再生に向けた〝アベノミクス3本の矢〞の3本目の矢となる成長戦略「日本再興戦略」が閣議決定された。この中に盛り込まれているのが「2015年からの燃料電池自動車の市場投入と水素ステーションの先行整備」。これにより、国内外で水素エネルギーを用いた燃料電池自動車(FCV:Fuel Cell Vehicle) の開発が相次いでいる。神戸市では、2014年3月にトヨタ、ホンダをはじめ、水素の供給施設となる「水素ステーション」の建設企業など8社とともに「神戸市FCV導入促進協議会」を立ち上げ、県内の自治体では初となるFCVの公用車導入を発表した。2015年度に量産型のFCVが市販されるのに合わせて購入する予定だ。FCVの航続距離はガソリン自動車並み。充填(じゅうてん)も速く、二酸化炭素の排出はゼロ。将来の普及が大いに期待されているとあって、神戸市では啓発イベントなどの開催を通し、2015年から本格化する水素利用の実現を市内外へ発信していく。

神戸市データベース
人口1,538,667人※2014年5月1日現在
面積552.26km²
市HPhttp://www.city.kobe.lg.jp/
備考環境モデル都市(2013年選定)
環境市場新聞37号掲載
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