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青森県青森市

青森県青森市

雪との共存を目指して

2010年12月
東北新幹線が全線開通

本州最北端に位置する青森県の県庁所在地、青森市。北は陸奥湾、南は八甲田連峰に囲まれ、自然豊かな都市である。かつては、青函連絡船の起点として、北海道と本州を結び、近年では東北新幹線の全線開通により、青森県以南とを結ぶ、交通、物流の要衝である。また、豪雪地域としても知られ、2013年2月には、青森市南部にある酸ヶ湯温泉にて、気象庁が観測する全地点史上最高となる566cmの積雪を記録した。
このように、青森市にとって雪は切り離せないものであり、共存していかなくてはならない自然現象。雪がもたらす「恩恵」と「課題」が、青森市の環境施策の原動力となっている。

日本一おいしい水のまち

日本一おいしい水の
モニュメント

ブナやミズナラ、コナラ等の樹木が繁茂する自然豊かな八甲田連峰には、毎年約3,000万m3を超える大量の雪が降り、その雪解け水や雨水が地下に浸透。その後、長い年月をかけて湧水となり、横内川に注がれる。
1984年、この横内川を水源とする横内浄水場の水道水は、厚生省(現厚生労働省)の「おいしい水研究会」が行った利き水会で「おいしい」と答えた人が最も多かったことから、「日本一おいしい水」と称されるようになった。「雪」がもたらした恩恵である。この出来事を契機に、青森市は自然の豊かさを再認識する。そして、この恵まれた環境を後世へと残していくため、環境への負荷の少ない持続可能な都市「山と海にいだかれた自然豊かな『緑と水と青空の青森市』」の実現に向けた継続的な環境保全・改善活動に取り組んでいくことを決めた。
青森市では横内川の良好な水質を守るため、1992年度より、横内川の集水区域において「水源涵養保安林造成整備事業」としてブナ、ミズナラ等の広葉樹の植林を、市民やボランティア団体と協働で行ってきた。2009年度までに174,000本の苗木を植林し、事業は無事終了した。2010年度からは、「水源環境保全林整備計画」として市西部での広葉樹の植林活動を展開している。

コンパクトシティのまちづくり

青森駅前に立つ
ミッドライフタワー

一方、大雪による除雪・排雪作業には、市街地の拡大と比例して増大する経費が、市の財政を圧迫していた。「雪」がもたらす課題である。また中心市街地の空洞化や高齢化社会、郊外部の無秩序な開発などの問題も深刻化しており、街づくりの転換期をむかえていた。そんな中、青森市が打ち出したのは、「コンパクトシティのまちづくり」。中心市街地を拠点とした市街地を形成することにより、住まいや職場、遊び場など様々な都市機能を集約し、公共交通の利便性を高め、自動車に頼らない環境にやさしい街を目指すとともに中心市街地の活性化の実現に向け、動き出した。
市の中心駅である青森駅付近には、様々な魅力ある施設が集められた。駅前に立つ「ミッドライフタワー」は、17階建ての複合施設。1階にはりんご・海産加工品・民芸品などを取り扱う店が並び、2階~4階部分にはクリニックや訪問介護ステーション、ケアハウスが入居。上層階は、高齢者対応型マンションとなっている。高齢者にとっては、重労働となる「雪かき」をする必要がなくなり、買い物も徒歩圏内で済ませることが出来るようになる。また、ビル内に診療所が備わっているため、万が一の時にも安心だ。

青森市データベース
人口298,462人※2013年3月31日現在
面積824.54km²
市HPhttp://www.city.aomori.aomori.jp/
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