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北海道帯広市

北海道帯広市

市民とつくる「田園環境モデル都市」

帯広市は、北海道東部、大自然に恵まれた十勝地方の拠点都市であり、道内第6位の人口を有する。北海道を代表する環境先進都市として、日々成長を続けている。2008年7月には、日本政府が初選定した6都市の「環境モデル都市」に、帯広市も名を連ねた。そんな帯広市の成長を後押ししているのが、市民の環境意識の高さである。

100年計画の帯広の森

市内に広がる帯広の森

市街地を取り囲むように形成された、行政・市民協働で作り上げた街のシンボル、それが「帯広の森」である。 1969年、当時の帯広市長、吉村博氏がオーストリア滞在時、「ウィーンの森」に出会ったことが、「帯広の森」構想の始まりである。「ウィーンの森」とは、ウィーン郊外にある、広さ1350平方キロメートルにも及ぶ森林地帯の名称。「ウィーンの緑の肺」とも呼ばれ、2000種類の植物や、150種類の野鳥、多くの絶滅危惧種が生息している。2005年には、ユネスコの生物圏保護区に指定され、都市と自然が見事に共存した、世界でも類を見ない区域となった。この広大な森と、そこに共存するウィーン市民に感銘を受けた吉村市長は、1970年、「帯広市第2期総合計画策定審議会」を発足、その場で「帯広の森」構想を発表した。 帯広の森の実現には、多大な事業費がかかることから、「市民の立場で積極的に森づくりを推進しよう」と市民運動が始まる。そして1975年、帯広の森100年計画として、行政、市民協働で初めての植樹が行われた。以来、2004年まで、30回の市民植樹祭が開催され、14万8000人が参加。現在までに23万本のカシワやミズナラ、ハルニレなどが植樹され、その面積は406.5ヘクタールにも及ぶ。この帯広の森を中心とした緑のベルトは、市内を流れる十勝川、札内川と結ばれ、帯広の市街地を取り囲んでおり、宅地の郊外部への無秩序な開発をせき止め、都市部と農村部を切り分け、双方の交流の場としての役割が期待されている。また、都市林のもつ公害抑制や都市災害の防止、生物生息環境の保全などの機能も期待されている。

森を育み、森に育まれる

「帯広の森・はぐくーむ」

2010年、帯広の森区域内に育成管理・利活用の拠点として「帯広の森・はぐくーむ」がオープンした。この施設では、帯広の森に関する様々な情報を発信しているほか、帯広市の環境教育の拠点としても機能している。はぐくーむでは学校や団体での利用者向けに様々な体験メニューを用意。帯広の森が誕生した経緯や目的、森に生息する生物、目指す森の姿などを学ぶことができる講義や、間伐体験、間伐材を使ったペレット作り、自然観察などを行っており、子どもが体験しながら環境について学ぶことができる。 帯広の森の造成開始から30年以上が経過。樹木は立派に成長し、随所で森らしい景観が見られるようになった。今後は、はぐくーむの活用促進や、市民団体による自主的な森づくりの展開など、市民と森との日常的、継続的な共存を追求、実践していく。また、より多くの市民が「森を育み、森に育まれる」という気持ちを持ち、森づくりに関わることで、魅力的なまちづくりにつながると考えている。

帯広市データベース
人口168,914人※2013年4月30日現在
面積618.94km²
市HPhttp://www.city.obihiro.
hokkaido.jp/
備考環境モデル都市(2008年選定)
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