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北海道ニセコ町

豪雪の活用

米貯蔵施設の貯雪庫 ニセコ地域特有の豪雪は、エネルギー源としての可能性も秘めている。2013年10月に完成した「JAようてい 米低温貯蔵施設」は、雪氷熱を利用した米貯蔵施設だ。2室合わせて玄米1,880tを受け入れ可能な貯蔵庫と、容量1,300tの貯雪庫から成る。
以前は、米を全て常温で保存していたため、品質維持管理に大きな労力を費やしていたが、雪氷熱を冷房として用いたこのシステムの導入より、貯蔵庫内が常に10℃以下に保たれるほか、電気冷房に比べ除湿量が大幅に減少するため最小限の加湿で済み、玄米貯蔵に最適な温湿度環境を作り出すことが可能となった。エネルギー源となる雪は、毎冬敷地内に自動的に降り積もるため、輸送コストがかからないことも特長の一つだ。
今後は雪氷ブランドの販売など、雪氷利用による農業の六次産業化を視野に入れ、産業活性化にも貢献していきたい考えだ。

持続可能な観光

ニセコグリーンバイク
(無料レンタサイクル)
また、ニセコ町では“持続可能”な観光も推進する。例えば、歩くことでその地域の魅力を発見する「ニセコフットパス」や、観光用のレンタサイクルを整備し、車では味わえないニセコの魅力をアピール。その他、町内の環境施設をめぐり、学ぶ「ニセコ地産地消の旅」や、食と環境をテーマにした旅育エコツアー、電気自動車を使用した旅を企画、開催し、観光客への環境普及啓発を図るとともに、CO2の削減にもつなげていく。
将来的には、環境維持や再生可能エネルギー導入支援を目的とした「環境税」の導入も検討しており、この先も「観光」と「環境」の横断的な取り組みが展開されていく。

地域資源を巧みに取り入れ、取り組みを進めているニセコ町。近年では環境の良さを理由にこの地に移り住む外国人も現れ始め、ニセコの影響力は世界へと広がっている。今後も「観光」と「環境」の両立を図りながら、国内リゾート地としてのモデル地域へ、さらには国際環境リゾート地としてのモデル地域となるべく、取り組みにより一層力を入れていく。

取材協力:ニセコ町
一部写真提供:ニセコ町
記事公開日:2015年1月6日

編集後記 街角にて

北海道も気づけば3都市目。帯広、下川に続く訪問となりました。取材時期が10月下旬だったため、ニセコ駅を降りるとかぼちゃ尽くし!昭和40年に建築された駅舎と相まって、暖かい雰囲気を醸し出していました。なお、ニセコ駅は、国鉄、JRで初めてカタカナだけで表記された駅名だそうです。

ニセコ町データベース
人口4,857人※2014年10月31日現在
面積197.13km²
市HPhttp://www.town.niseko.lg.jp/
備考環境モデル都市(2014年選定)
環境市場新聞39号掲載
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